日銀の緩和継続は「有益」 デフレ克服後押し―前世銀チーフエコノミスト

東京, 12月30日, /AJMEDIA/

世界銀行の前チーフエコノミスト、カーメン・ラインハート米ハーバード大院教授は、日銀が大規模金融緩和を一部修正したことに関し、日本がデフレを克服するには、緩和を維持して緩やかな物価上昇を目指す「リフレ政策」が引き続き有益だとの見解を示した。29日までに時事通信のインタビューに応じた。
 日銀は20日、長期金利の上限を0.25%から0.5%に引き上げた。「事実上の利上げ」との見方もあるが、ラインハート氏は政策変更は「極めて小さい」と指摘。日本は長年デフレに苦しんでおり、金融緩和を続けるべきだと明言した。
 日本の公的債務残高は国内総生産(GDP)の2倍超に達し、新型コロナウイルス感染拡大に伴う財政出動でさらに増えた。ラインハート氏は増税と社会保障のバランスを見直す必要性に言及。日本は主要先進国の中で人口の減少と高齢化が加速しており、「(見直し判断は)差し迫っている」と警告した。
 また、人口減少は「移民問題と切り離すことはできない」と指摘。「日本はある時点で移民問題に取り組まなければならない」と語り、日本が経済成長に必要な労働力を確保するため、移民受け入れは不可避との認識を示した。
 米連邦準備制度理事会(FRB)や欧州中央銀行(ECB)など、主要中銀はインフレ抑制のため利上げを推し進めた。世界的に金利が上がり、債務負担が重くなる恐れがある。ラインハート氏は「ここ数年広がっていた『債務増は問題なく、低金利はずっと続く』との考えから脱却しなければならない」と訴えた。
 
 ◇カーメン・ラインハート氏略歴
 カーメン・ラインハート氏 米コロンビア大院で博士号取得。米投資銀行ベア・スターンズのチーフエコノミスト、国際通貨基金(IMF)調査副局長、米ハーバード大ケネディ行政大学院教授など歴任後、2020~22年に世界銀行チーフエコノミスト。22年ハーバード大復帰。共著「国家は破綻する」は日本語を含め20言語以上に翻訳された。1955年、キューバのハバナ生まれ。米国籍。

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