新興国、資金流出続く 米利上げで強まる警戒感

東京, 7月3日, /AJMEDIA/

米連邦準備制度理事会(FRB)など先進国の中央銀行が、歴史的な高インフレに対処するため利上げを急ぐ中、経済基盤が脆弱(ぜいじゃく)な新興国からの資金流出が続いている。流出は通貨安による物価高を招き、成長を圧迫しかねないだけに、各国は一段のショックに身構えている。
 世界の有力金融機関が加盟する国際金融協会(IIF)によれば、非居住者による新興国株式・債券への投資資金は3月以降、流出が続く。FRBの連続利上げ開始の時期と重なっており、金利上昇を受けた米国への資金還流に対する新興国のもろさが改めて浮き彫りとなった。
 米国とユーロ圏のインフレ率は前年比8%超の高水準を記録。FRBはインフレ率の低下が確認されるまで利上げを継続する構えだ。欧州中央銀行(ECB)も7月に利上げを開始する方針。米欧の金利上昇で新興国の資金流出圧力はさらに高まりかねず、IIFは「近年で最も大きな金利ショックの一つを世界は経験している」と警告する。
 一方、主な新興国は米国の金融引き締めに先立ち、国内のインフレ圧力を和らげるため積極的な利上げを進めていた。金利水準は依然として米欧よりも高く、ある程度打撃を免れている側面もある。
 元メキシコ中銀総裁のカルステンス国際決済銀行(BIS)総支配人は6月29日の会合で、「メキシコの幾つかの経済危機は米金利の急速な上昇に結び付いていたが、われわれは教訓を学んだ」と強調した。
 メキシコ中銀は昨年6月に利上げに着手し、政策金利をこれまで計3.75%引き上げた。これが奏功し、通貨ペソの対ドル相場は7月1日時点で、年初とほぼ同水準で推移している。
 もっとも、中国経済の減速や米国の景気後退懸念など、世界経済の先行きには暗雲が垂れ込める。カルステンス氏は「多くの新興国にとって課題は大きい」と、警戒を呼び掛けた。

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