新党候補、対中関係強化に意欲 台湾断交圧力も―グアテマラ大統領選

東京, 6月30日, /AJMEDIA/

【サンパウロ時事】25日に行われた中米グアテマラの大統領選挙は、当初は泡沫(ほうまつ)候補とみられた新興政党「セミージャ運動」のベルナルド・アレバロ候補(64)が既存政党への不満票を集めて2位に躍進し、8月20日の決選投票でコロン元大統領夫人のサンドラ・トーレス候補(67)と対決する構図が決まった。同国は台湾と外交関係を持つが、ここに来てアレバロ氏は中国との関係強化に意欲を表明。同氏が当選すれば、中国がグアテマラに「台湾断交」を迫る展開も予想される。
元職夫人らが決選へ 中道左派の争い―グアテマラ大統領選

 アレバロ氏は今月27日、地元ラジオで「貿易問題に取り組み、中国に関しては拡大する必要がある」と言及した。国民の半数以上が貧困層のグアテマラにとって、中国の経済力は魅力。同氏は「どちらかの肩を持つことはない。国益に基づいて外交政策を設定する」と述べており、中台双方とうまく付き合う考えだ。
 ただ、中国は「一つの中国」政策を相手国に求めている。アレバロ氏が中国との関係強化を模索すれば「踏み絵」を迫られることは必至。一方のトーレス氏は台湾との関係維持を主張している。
 経済大国に台頭した中国は台湾孤立化を目指し、経済支援を「餌」に伝統的に親台派が多い中南米で盛んに切り崩しを図っている。既に多くの国が中国に「くら替え」。今年3月にはグアテマラの隣国ホンジュラスが台湾と断交したばかりだ。
 危機感を募らせた台湾は、大統領選をにらみ3~4月にグアテマラと首脳相互訪問を実施。ロイター通信によると、台湾外交部(外務省)は「2人の候補者には伝統ある関係への支持を求める」と述べ、つなぎ留めに強い意思を示した。
 今回の大統領選では、政治への不信感が浮き彫りとなった。得票率はトーレス氏が約16%、アレバロ氏が約12%。しかし、投票率は約6割にとどまった上、無効票と白票が計約24%に達した。
 グアテマラでは政界汚職がはびこり、今回の選挙でも有力候補が司法判断で相次ぎ撤退に追い込まれた。腐敗に対処する能力を示す指数の国別順位でも、中南米主要15カ国の中で13位に低迷する。アレバロ氏が「クリーン」を打ち出して無党派層を糾合することができれば、逆転も十分に可能だ。

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