拉致対応「ほぼ失敗」 日本政府は危機感を―被害者の蓮池薫さん・日朝会談20年

東京, 9月18日, /AJMEDIA/

 北朝鮮が日本人拉致を認めた2002年9月の日朝首脳会談の翌月、拉致被害者の蓮池薫さん(64)は約24年ぶりの帰国を果たした。運命を変えたあの会談から17日で20年。取材に応じた蓮池さんは、再会を待ち続けてきた他の被害者家族の親世代が相次いで亡くなっている現状に憤る。「親子の再会が拉致問題の最も重要な解決だとすると、ほとんど失敗に終わっている」。日本政府に危機感を持って取り組むよう注文を付ける。
 蓮池さんは1978年7月31日、恋人の祐木子さん(66)と共に新潟県柏崎市の海岸で拉致された。2人は北朝鮮で再会して結婚。2人の子どもに恵まれた。一方、北朝鮮は02年9月17日の日朝首脳会談で、蓮池さん夫妻ら日本人5人を生存している拉致被害者として認めた。5人は同年10月15日、羽田空港に降り立った。
 拉致された当初は、帰りたい一心から脱出方法を思案していたという蓮池さん。祐木子さんと結婚し、生活が落ち着くと、「じたばたしてもしょうがない」と、次第に諦めの気持ちが高まっていったという。
 帰国を果たした後は、今なお帰国が実現できていない他の拉致被害者らに思いをはせている。「帰国できた人がいると知ったら、『なぜ自分は帰れないのか』と思うはずだ」と語り、北朝鮮に残された側からすれば、日朝首脳会談後のこの20年の方が絶望は大きいと指摘する。
 各地で講演活動を続ける中、拉致問題の解決には日本独自のカードを切る必要があると考える。核・ミサイル開発で北朝鮮が国際的に孤立している現状などを踏まえ、「拉致被害者を帰す前提であれば、北朝鮮への人道支援などができることを明確に提示することが必要だ」と話す。
 ただ、拉致被害者の親世代が生きている間を交渉期限とし、「期限を過ぎれば北朝鮮の求める交渉には国として応じないと強く伝えるべきだ」とも主張する。
 「親世代が亡くなり、取り返すことのできないものがたくさん出ている。今どうしなければいけないのか、考えてほしい」と政府に訴えている。

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