強硬路線継続に警戒感 次期英首相決定で―EU

東京, 9月6日, /AJMEDIA/

英国の次期首相にトラス外相が就任することが事実上決まったのを受け、欧州連合(EU)はEU離脱をめぐり悪化した英国との関係改善の道をひとまず模索するとみられる。ただ、次期政権は対EU強硬路線を継続する見通しで、警戒感も強まっている。
 英EU間の争点は、離脱に伴う英領北アイルランドの国境管理だ。離脱協定では、EU加盟国アイルランドと国境を接する北アイルランドについて、実質的にEUの関税圏に残し、英本土との間で通関手続きを行うよう定める取り決めが盛り込まれた。
 ところが英政府は6月、通関手続きの一部を省略する法案を議会に提出。EUは一方的に行われたと反発し、法的措置を取る方針を示した。ジョンソン政権でEUとの交渉を担ってきたトラス氏は、党首選の期間中も変更の実現に意欲を見せた。
 EU欧州委員会のフォンデアライエン委員長は5日、トラス氏勝利を受けツイッターで祝意を伝え「EUと英国はパートナーだ」と指摘した。ただ「われわれの合意を完全に尊重しながら、建設的な関係を築いていきたい」とくぎを刺した。
 欧州委員会のシェフチョビッチ副委員長(機関間関係・先見性担当)は今月2日に英国で講演し、「EUは(交渉の)テーブルを決して離れない」と述べ、交渉の余地があると示唆した。しかし、英国による法案提出は「重大な懸念だ」と強調。「明らかな国際法違反は英EU双方の信頼関係を大きく損なう」として、今後の行方が見通せないことを憂慮した。

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