対北朝鮮、拡大抑止で連携へ 「核の傘」に不安感―韓国大統領、24日訪米

東京, 4月23日, /AJMEDIA/

【ソウル時事】韓国の尹錫悦大統領は24日から国賓として訪米し、26日にバイデン大統領と会談する。「核の傘」を含む米軍の戦力で韓国を守る拡大抑止を巡る連携強化が会談の焦点だ。北朝鮮の核・ミサイルの脅威が高まる中で、韓国国内では核武装を求める声も上がる。尹氏は米国の核への韓国の関与を深め、国民の不安を払拭(ふっしょく)したい考えだ。
 北朝鮮は、米国全土を射程に入れるとされる大陸間弾道ミサイル(ICBM)の試射を繰り返し、核の先制使用を辞さない姿勢を示す。こうした中で、韓国では「有事に米国が北朝鮮から核攻撃を受ける危険を冒してまで韓国を守るのか」という疑念がくすぶる。
 韓国独自の核保有を肯定する世論も強まる。韓国の研究機関・峨山政策研究院が今月発表した世論調査では「独自の核開発をすべきだ」という意見が64.3%に上った。有事に米国が北朝鮮に攻撃される危険を冒して核を使用するかについては「使用する」が43.1%、「使用しない」は54.2%だった。
 ただ、核保有は「相当なインパクトがあり、現実的でない」(専門家)。核保有国を五大国に限定した核拡散防止条約(NPT)体制に挑戦することにもなる。北朝鮮に非核化を求める米国が認める可能性はほぼない。
 米韓両政府は、昨年5月の尹政権発足後、合同軍事演習の拡大や米軍の戦略兵器の韓国展開などで拡大抑止への韓国国民の信頼を高めようとしてきた。さらに、韓国与党「国民の力」代表の金起※(※火ヘンに玄)議員は「米国の戦術核兵器の韓国への配備や核共有の議論を始めるべきだ」と訴える。北大西洋条約機構(NATO)には加盟国が米国の核兵器を共同運用する仕組みがあり、5カ国に米国の核兵器が配備されている。
 尹氏は訪米前のロイター通信のインタビューで「NATO以上に強力な対応が準備されないといけないと思う」と語った。韓国大統領府関係者は「NATOのように韓国に核兵器を配備することはないと思うが、協議の深さと協力の幅はより深く広くなければならないという意味だ」と解説する。
 米政府高官は今月21日、ロイターに対し、バイデン氏が尹氏との会談で、核抑止力へのコミットメント(責任ある関与)に対する疑いを取り除く「重要な一歩」を示すだろうと述べた。

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