南北、核で深まる分断 「和解協力」から「敵」へ―板門店宣言5年

東京, 4月28日, /AJMEDIA/

【ソウル時事】韓国の文在寅前大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長(当時)が、非核化と平和をうたった板門店宣言を発表してから27日で5年を迎えた。朝鮮半島を巡る情勢は様変わりし、米韓首脳は26日の会談で、核・ミサイル開発を加速させる北朝鮮に対抗する姿勢を強調。南北は「和解協力」の相手から「敵」となり、核による分断は深まりを見せている。
 「朝鮮半島にこれ以上戦争はない」。2018年4月27日、南北首脳は板門店で会談後、こう宣言した。休戦協定を平和協定に転換し、「完全な非核化を通じ核のない朝鮮半島を実現する」とも誓った。しかし、19年2月にベトナムの首都ハノイでトランプ前米大統領と正恩氏が行った首脳会談は非核化で合意できず決裂。北朝鮮は核・ミサイル開発に突き進んだ。
 昨年5月、韓国で日米との協力を重視し対北朝鮮強硬姿勢の尹錫悦政権が発足して以降、朝鮮半島を取り巻く緊張は高まった。北朝鮮は米韓合同軍事演習などのたびに強く反発し、ミサイル発射を繰り返している。今年2月に公表された韓国の「国防白書」では、北朝鮮を「敵」とする表現が6年ぶりに復活した。
 韓国では独自の核武装を求める声も高まる。韓国の研究機関・峨山政策研究院が今月発表した世論調査結果によれば、「独自の核開発をすべきだ」との意見は64.3%に上った。「北朝鮮が核を使用しないというのは、度が過ぎた楽観だ」(専門家)との声も聞かれる。
 尹政権は、北朝鮮が核開発を中断し実質的な非核化に転換すれば、段階的に経済支援する「大胆な構想」を掲げる。ただ、圧力一辺倒の政策では、北朝鮮が対話に応じ非核化する可能性は低い。
 文前大統領は27日、宣言5周年を記念する会議にメッセージを寄せ、対話による平和実現が必要だと指摘。「状況を安定的に管理する真摯(しんし)な努力を見せず、競争するかのように互いを刺激している」と南北の現状を批判した。

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