出だし順調、くすぶる不満 スナク首相就任1カ月―英

東京, 11月27日, /AJMEDIA/

経済失策で退陣したトラス氏の後任として、スナク氏が英首相に就任してから25日で1カ月となった。減税策の迷走で混乱極まった前政権と比べ、スナク氏の政権運営はおおかた安定しており、出だしは順調と言える。ただ、物価高や光熱費高騰に苦しむ国民の不満はくすぶり続けており、政権批判に発展する可能性もある。
 トラス氏は、財政の裏付けがない減税計画を推し進めて批判の中で退陣に追い込まれ、スナク氏はその後を継いだ。就任演説では、前政権の「間違い」を修復し「経済の安定と信用」の回復にまい進すると表明。危機的な経済の課題に対処するため「困難な決断」を行うことも辞さないと宣言した。
 その言葉通り、スナク政権は今月半ば、国民に「痛み」を強いる増税と歳出削減を盛り込んだ財政計画を発表した。インフレ抑制と財政規律を優先した内容で、「減税ありき」の前政権とは対照的。経済再生へ安定重視の姿勢を強調した形だ。
 こうした戦略が奏功してか、今のところ首相への声高な批判は聞こえてこない。与党保守党は前政権下の10月、支持率で最大野党・労働党に一時30ポイント以上の差をつけられたが、今月下旬には20ポイント台前半まで縮小した。
 ただ、英国は歴史的な水準のインフレに直面し、国民の生活は苦しくなる一方。高インフレを受けて賃上げを求める公共交通機関の職員や看護師らのストも相次いでいる。大規模ストが続いた1970年代後半の「不満の冬」再来とも言われる中、人々の怒りの矛先がいつ政権に向けられるとも限らず、首相は難しいかじ取りを迫られそうだ。

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