プーチン露政権、ウクライナとの長期戦に備え 防空壕から兵員確保まで

東京, 2月10日, /AJMEDIA/

 ロシアのプーチン政権は、西側諸国の兵器支援を受けるウクライナ軍との長期戦を見据え、国内の態勢固めを急いでいるもようだ。ロシア軍の死傷者が「約20万人」(米紙ニューヨーク・タイムズ)に達するとされる中、刑務所では民間軍事会社「ワグネル」戦闘員の募集が続いているという見方が根強い。
 「クレムリン(大統領府)が全土の防空壕(ごう)改修を命じた」。英字紙モスクワ・タイムズ(電子版)は6日、昨年9月の部分動員令、同10月の占領地への戒厳令に続く形で「戦時体制」が強化されている実態を報じた。首都モスクワには既に対空防衛システムが配備されている。
 兵員不足も深刻で、独立系メディアは8日、刑務所でワグネル戦闘員を確保するため、治安機関が「募集に応じなければさらに訴追する」と受刑者を脅しているという弁護士の話を伝えた。ワグネル創設者のプリゴジン氏は9日、「受刑者の募集は完全停止した」と主張したが、批判の回避が主眼とみられる。受刑者はウクライナ東部ドネツク州の激戦地に投入され、約4万人が戦死したとの推計もある。
 ロシア紙RBKは7日、通常は精鋭から成るロシア軍の「平和維持部隊」について、新兵でも担えるよう法改正が提案されたと報じた。精鋭部隊はドネツク州バフムトなどで戦闘に従事しており、損耗が激しい。平和維持部隊に人員を割く余裕はないと国防省が判断した可能性がある。
 平和維持部隊の派遣先の一つは、アルメニアとアゼルバイジャンの係争地ナゴルノカラバフ。同地では昨年秋、紛争が再燃した。平和維持部隊はこれまでも「機能していない」(アルメニアのパシニャン首相)と批判されており、新兵に置き換われば、ロシアの影響力低下に拍車が掛かりそうだ。

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