プーチン氏、逮捕恐れる 8月の南ア行き焦点―外遊制限で「逃げ」印象に苦慮

東京, 3月27日, /AJMEDIA/

ロシアのプーチン大統領は今年、外遊を大きく制限される。ウクライナ侵攻を巡って国際刑事裁判所(ICC)に逮捕状を出され、123の加盟国・地域を訪れた場合に理論上、逮捕される可能性があるためだ。存在感を示したい国際会議の出席を見送れば「逃げている」という印象を内外に抱かれかねず、対応に苦慮しそうだ。
◇BRICS重視
 当面の焦点は、南アフリカで8月に開かれる新興5カ国(BRICS)首脳会議。プーチン政権は、米国「一極支配」に対抗する「多極主義」の舞台として、中ロ主導の上海協力機構(SCO)と並んでBRICSを重視する。ウクライナを支援する西側諸国を「代理戦争」の敵と見なす中、けん制のためにも南ア行きは外せない。
 南アはICC加盟国。ロイター通信などによると、ラマポーザ大統領の報道官は19日、逮捕に関する「法的義務は認識している」と公式見解を表明した。同時に「首脳会議までの間、さまざまな利害関係者と連絡を密にしていく」とも述べ、事前調整でプーチン氏が逮捕されるリスクをゼロにしたいというロシアへの配慮を示した。
 南アのパンドール国際関係・協力相も22日、ICCの逮捕状発付にかかわらず、BRICS首脳会議へのプーチン氏の招待は有効だと確認。政府内だけでなくロシア側とも「今後の対応を協議する」と約束した。
 南アは「グローバルサウス」と呼ばれる新興・途上国の一角で、ウクライナ侵攻で「中立」を堅持。ロシアに制裁を科す西側諸国と距離を置いている。プーチン政権は1月にラブロフ外相を派遣したほか、2月に極超音速巡航ミサイルを装備したフリゲート艦「アドミラル・ゴルシコフ」を寄港させ、中ロと南アの3カ国で海上合同軍事演習を実施した。
 ◇中印は非加盟
 ロシアの独立系メディアによれば、クレムリン(大統領府)では、逮捕状の発付を「想定外」と捉えている。外遊時に「どう安全を確保すればいいのか分からない」と悲観的な空気も漂った。
 こうした中、ロシアとしては、BRICS首脳会議には展望が開けた形だ。前例ができれば、9月のインドでの20カ国・地域首脳会議(G20サミット)参加も不可能ではなくなる。インドはICC非加盟国だ。
 同じくICC非加盟の中国の習近平国家主席は、今月20日から3日間訪ロ。今年計画している経済圏構想「一帯一路」の国際協力サミットフォーラムを念頭に、プーチン氏に訪中するよう招請した。逮捕状の「無効」を訴える立場からも、プーチン氏は訪問に前向きとみられる。
 ただ、南アは依然としてICC加盟国であり、逮捕のリスクがゼロになったわけではない。ウクライナのクレバ外相は24日、インターネット交流サイト(SNS)で「政治的同盟国の南アがプーチン氏を拒めないのは分かる」と指摘。その上で「逮捕状を完全に無視できるとは思わない」と揺さぶりを掛けた。招待して加盟国の義務を果たすか、プーチン氏の訪問を認めないか、選択を迫ったもようだ。

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