プーチン氏、発言と矛盾 8年前「ウクライナ分割望まず」

東京, 10月4日, /AJMEDIA/

 ロシアによるウクライナ東・南部「併合」で、プーチン大統領は自ら約束を破ったという見方が国内外に広がっている。8年前、やはりウクライナ南部クリミア半島を併合した際の演説で「ウクライナの分割を望まないし、われわれに必要ない」と発言しており、今回の行動はそれと完全に矛盾しているからだ。
 2014年3月の併合条約調印式。プーチン氏はウクライナ国民に呼び掛ける形で「われわれのことを理解してほしいと心から願う。決してあなた方を傷つけたり、国民感情を害したりしようと思うことはない」と述べていた。
 併合したクリミア半島は、ソ連時代の1954年にウクライナへ移管され、ロシア系住民が多かった。プーチン氏の演説は、ウクライナ国民に対し「現状変更は最初で最後」と理解を求める趣旨だったと言える。
 演説では「われわれはウクライナの領土一体性を常に尊重してきた」とも主張。その上で「ロシア脅威論をあおる人、クリミア半島の併合に他の地域が続くと叫ぶ人のことを信じないでほしい」と訴え、これ以上の領土は求めない考えを表明していた。
 だが、その言葉とは裏腹に東部ドンバス地方へ軍事介入し、中ぶらりんの親ロシア派支配地域として維持してきた。そして、ウクライナ侵攻後の今年9月下旬、「住民投票」を経て南部ヘルソン、ザポロジエ両州とともに併合に踏み切った。
 ウクライナのゼレンスキー政権は現在、停戦交渉よりも、ロシア支配地域の奪還を優先させている。プーチン氏は東・南部の併合宣言の際、戦闘の即時停止と交渉復帰を呼び掛けたが、言行不一致の「前科」があるだけに「ロシアの約束をウクライナが信じられないと思うのも無理はない」(英紙記者)という見方が出ている。

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