パリへ続く“挑戦” 最後の最後で勝負強さ 瀬戸大也【解説】

東京, 03月24日 /AJMEDIA/

まだ譲れないですね。夏は任せてほしいと思う」

3回目のオリンピックの切符をつかみ、緊張から解き放たれたように語った瀬戸大也選手。さらなる成長を求めてオーストラリアに拠点を移し、“挑戦”をテーマにオリンピックイヤーに臨んだ29歳が、最後の最後で勝負強さを見せました。
(スポーツニュース部 記者 松山翔平)
1月。

地元の埼玉県で始動した瀬戸選手は、ことしの目標を“挑戦”と記しました。

「すべてにおいて自分は“挑戦”ということばをいちばん大切にしている。この年にぴったりだ」

リオデジャネイロオリンピックでの銅メダル獲得など、実績を積み重ねてきた瀬戸選手。転機となったのは、去年、福岡市で行われた世界選手権でした。
男子400メートル個人メドレーで銅メダルを獲得したものの、金メダルだったフランスの若手、レオン・マルシャン選手に7秒近くの大差をつけられ「泳ぎも感覚もかみ合っていない」と大きなショックを受けました。

そして去年の秋、オーストラリアに拠点を移し、池江璃花子選手とともに多くの有力選手を指導するマイケル・ボール コーチの指導を受け始めました。その理由は…

「集中して練習ができ、なおかつ『全部やれた』と最後に思えるような環境に行こうと思った」

「シンプルに水泳に集中できた」と厳しい練習に耐え抜き、技術面でもバタフライの呼吸の方法や、背泳ぎの際の手の入れ方など、細かい指導を受けながら1つ1つ泳ぎを改善していきました。

30歳を目前にしての新たな挑戦に瀬戸選手は、限界を決めずにみずからを高めてきました。

「オリンピックで自分の過去の最高記録を超えていきたい。何事もいろんなことに挑戦しながら、チャレンジしていきながら、自分を超えていきたい」

ここ数年、男子の個人メドレーは、18歳の松下知之選手や、20歳の小方颯選手など若く有望な選手が次々と出てきています。

瀬戸選手は、みずからを奮い立たせて選考会に臨みました。

「すごく層が厚くなっていて、本当にうれしいが負けられない。自分の背中を追ってもらって、『瀬戸に勝てば、メダルが取れる』という存在であり続けたい。若手にバトンタッチするまで、できるところまで、世界の最前線で戦う」

最初の種目、男子400メートル個人メドレー。
本命種目でしたが、松下選手に敗れて2位となり、派遣標準記録も切れずに代表内定はなりませんでした。

それでも「1つ1つできることをやっていく」と、すぐに気持ちを切り替えた瀬戸選手。

次に内定をねらう200メートル個人メドレーの前に、練習を積んでいなかったという200メートルバタフライにあえて出場する決断をしました。その理由について次のように明かしました。
「普通だったら体力をためると思うが、レースをしたいという感覚もあり、自分のキャリアの中で『これはたぶん泳いだ方がいい』と直感で感じた」

200メートルバタフライは決勝で3位でしたが「しっくりきてなかった」というバタフライの修正と実戦感覚を蓄えて最後の種目、200メートル個人メドレーに臨みました。

最初のバタフライで3番手と粘ると、調子のよかった平泳ぎで一気に逆転して、あとがない状況からパリオリンピックの代表内定をつかみました。
レース後、瀬戸選手はプランどおりの会心のレースを振り返りました。

「こういうせっぱ詰まったレースは過去にやってきているので『どうしよう』というよりは『また来たか』という感じだった。レース前から緊張感を持ちそれを楽しめた。キャリアを積んできて方程式というか、引き出しはたくさんある。今回出せる中で完璧なレースができた」
その一方で、すでにこの夏を見据えていました。

「まだ求めている泳ぎでなく、ラップタイムも刻めていない。とはいえ勝負は来る。最高のパフォーマンスを求めてあと数か月でやれることはすべてやっていきたい」

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