ウクライナ問題、実利優先 苦言の一方、対ロ貿易拡大―インド

東京, 2月11日, /AJMEDIA/

ウクライナ侵攻から1年となる中、インドは実利優先の外交姿勢を貫いている。ロシアに停戦を促し、欧米諸国とも良好な関係は維持する。一方で、原油をはじめ対ロ貿易は拡大している。
 「戦争の時代ではない」。昨年9月、モディ首相はウズベキスタンで会談したロシアのプーチン大統領に対し、直接苦言を伝えた。旧ソ連時代からの友好国で、欧米の経済制裁にも加わらないインドの侵攻批判は波紋を呼んだ。
 モディ氏は昨年12月にもプーチン氏、ウクライナのゼレンスキー大統領と立て続けに電話会談。停戦に向け仲介役を担うことに意欲を示した。
 一方で、印ロの経済的な結び付きは侵攻後、強まっている。インド政府の統計によると、昨年のロシアからの輸入総額は2021年と比べ、約4.4倍の約360億ドル(約4.7兆円)に急増した。制裁で販売先を失ったロシア産原油を割引価格で購入していることが大きい。
 インドのメディアはエネルギー市場調査会社のデータを基に、1月のロシア産原油の輸入量が1日当たり127万バレルに達し、過去最高を更新したと伝えた。輸入した原油の総量にロシア産が占める割合は侵攻前の0.2%から、輸入相手トップの28%に急上昇した。
 インドが「対ロ制裁の抜け道になっている」と欧米から批判されても意に介さない。昨年11月にロシアを訪問したジャイシャンカル外相は、安価な原油購入は「インドの消費者のため」と言い切った。世界3位の石油消費国としてロシアとの関係を重視する考えを示した。
 一方、軍事面ではリスク回避のためロシア依存の脱却を図る。インド軍事専門家ラケシュ・シャルマ氏は、インドの軍備の約6割は現在、ロシア製と指摘した上で「イスラエルやフランス、米国といった調達先の幅を広げ、兵器や装備の自給自足にも全力を注いでいる」と述べた。ウクライナ戦争が軍備の国産化や調達先の多様化に拍車を掛けている。

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