ウクライナ、調達巡る「汚職」に動揺 侵攻対応への影響懸念

東京, 1月24日, /AJMEDIA/

 ウクライナ政府が不祥事に揺れている。現地メディアは21日、国防省が食材調達で不自然な高額契約を結び、汚職の温床になった疑惑を報道。これとは別に、発電機などの調達を巡る収賄容疑でインフラ省高官が逮捕された。ロシアが続ける侵攻への対応に影響が出ないか懸念されている。
 国防省の疑惑を報じたのは、有力メディア「ゼルカロ(鏡)」。契約書のコピーによると、戦地などで兵士らの食事を賄う卵やジャガイモなどの材料を調達する際、卸売価格ではなく、小売価格の「2~3倍」という価格が設定された。
 契約額は約130億フリブナ(約460億円)。生じた可能性のある「差額」の行方は闇の中だ。レズニコフ国防相は21日、最高会議(議会)担当委員会に呼ばれた。国防省は22日に声明を出し、報道を「偽情報」と否定した上で「意図的な印象操作で誤解を招く」と反発した。
 さらに国防省は、報道に対する調査を情報機関である保安局(SBU)に要請した。現地の反汚職NGOは、国防省の反論は具体性に乏しいと批判している。
 一方、国家汚職対策局(NABU)は21日、ロジンスキー・インフラ省次官を逮捕し、関係先を家宅捜索した。昨年夏、発電機を含む約17億フリブナ(約60億円)相当の機器・設備を調達した際、契約額をつり上げる見返りに40万ドル(約5200万円)を受領した疑いがある。
 汚職対策はゼレンスキー政権の公約で、念願の欧州連合(EU)加盟を果たすのに不可欠。侵攻が続く中で政府への信頼が落ちれば、国民の団結がほころびることにもつながりかねない。
 ウクライナでは今月、東部ドニプロの集合住宅へのミサイル攻撃を巡る失言で、アレストビッチ大統領府顧問が辞任した。18日には内務省ナンバー1、2がヘリコプター墜落事故で死亡し、政権高官が相次いで欠けた。国防省トップも騒動に巻き込まれ、ソーシャルメディアでは「次は誰だ」と不安の声が尽きない。

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