イスラム「侮辱」あわや暴動 中国・パキスタン関係に不協和音

東京, 4月23日, /AJMEDIA/

【北京時事】パキスタン北部で今月、水力発電所建設に携わる中国人技術者の男性が、イスラム教を冒涜(ぼうとく)したとして告発された。怒ったパキスタン人作業員らによる暴動を懸念した地元当局は、男性を遠隔地へ移送。パキスタンでは近年、中国権益への反発が強まっており、住民感情の刺激が両国の不協和音に発展しかねない状況だ。
 17日のAFP通信などによると、男性はイスラム教のラマダン(断食月)期間のせいで「仕事の進行が遅い」と指摘。作業員との口論で、アラー(神)や預言者ムハンマドを侮辱するような発言があった。
 これに反発した地元住民ら数百人が抗議に集まり、武装警察が出動する騒ぎに発展。抗議参加者らは中パ国境につながる道路を一時封鎖したという。当局は男性を拘束しており、告発に基づく捜査を今後進める。
 中国外務省報道官は18日、「中国政府は在外中国人に対し、現地の法律、規制、慣習を尊重するよう求めている」と強調したが、詳細は明らかにしなかった。事件は中国でほとんど報じられていない。
 中国は巨大経済圏構想「一帯一路」の下、経済協力やインフラ建設を通じパキスタン進出を加速してきた。習近平国家主席が両国の「鉄の友情」をうたう半面、「中国がパキスタンの資源を奪っている」と見なす武装集団の攻撃も頻発。昨年4月には南部カラチで、中国語などの普及を図る「孔子学院」の車両が爆弾テロに遭い、中国人ら4人が死亡した。
 中国政府はパキスタン側に安全確保の徹底を要請しているが、対応が追い付いていない。香港メディアは、相次ぐ事件で「プロジェクト参加を思いとどまる中国人が増えれば、中パ協力への打撃となる」と指摘した。

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