「過去より未来」訴え 懸案難航、世論の理解に苦心―韓国大統領

東京, 3月2日, /AJMEDIA/

【ソウル時事】韓国の尹錫悦大統領は1日の演説で、日本を「協力パートナー」と位置付け、歴史問題で日本を追及するよりも未来に向かうべきだと訴えた。しかし、懸案の元徴用工問題は足踏み状態で、演説は具体性を欠いた。いかに関係改善の意義を世論に理解させるか苦心している様子もにじんだ。
尹氏は演説で「世界史の変化にしっかり準備できず、国権を失った過去を振り返り、今の危機をどう打開していくかを考えるべきだ」と強調。植民地支配の歴史を日本だけのせいにすべきではないとの認識をのぞかせた。
 元徴用工問題では、日本政府の謝罪の方法、賠償を肩代わりする財団への日本企業の自発的寄付を巡り、日本との交渉が難航している。尹氏の発言は、日本に要求するよりも、韓国が自ら主体的に解決すべきだと世論に訴える意味合いもあるとみられる。
 原告の一部が政府の解決案を受け入れないことは韓国政府も織り込み済みだ。丁寧に原告側への説得努力を続けるのは、世論の理解を広げる思惑がある。尹氏が日本との未来志向の協力を強調したのも、世論を意識したものだ。
 日本に劣等感を感じない若い世代を中心に反日感情は薄くなったと言われる。日本の公益財団法人「新聞通信調査会」が先月発表した世論調査で、韓国人の日本に対する好感度は39.9%と過去最高に上った。
 一方で、40代以上を中心に反日感情は根強い。ソウル中心部で1日に開かれた元徴用工問題に関する集会で、最大野党「共に民主党」の李在明代表は「36年間朝鮮半島を武力で占領したのが日本であり、日本がすさまじい収奪と人権侵害を犯したという事実を忘れている」と声を張り上げた。
 朴振外相は2月28日、「問題を最大限早期に解決する強い意志を持っている」と改めて説明した。解決を急ぐ大きな理由は「今年後半から準備が本格化する来年4月の総選挙への影響を避けるため」(日韓関係筋)だ。朴氏は「(原告らの意見を)解決策づくりの参考にする」と述べ、必ずしも原告全員の同意が得られなくても解決策決定に踏み切る可能性をにじませた。

Follow us on social

Facebook Twitter Youtube

Related Posts