「来てとは言いづらい」 観光船再開、複雑な思い―地元事業者

東京, 6月23日, /AJMEDIA/

 北海道・知床半島沖での沈没事故を受けて運航を自粛していた斜里町の観光船は、夏季シーズンを前に再開された。ただ、客足の戻りは鈍いままだ。「まだ、来てとは言いづらい」。観光事業者は複雑な思いを語る。
 斜里町ウトロ地区の「知床小型観光船協議会」は安全運航に関する自主ルールを定め、16日から短距離コースのみ運航を再開した。初日には約20人の乗客が知床の自然を楽しんだという。神尾昇勝会長は「行方不明の方がいる中で心苦しいところもある。事故防止に努め、信頼回復につなげたい」と話す。
 知床斜里町観光協会によると、町内の事業者からは新規の予約が伸び悩んでいるとの声が上がる。自然ガイドの男性は「事故は知床のイメージダウンになっている。ただ、行方不明者の家族のことを考えると、来てほしいとは発信しづらい」と肩を落とす。
 同協会の新村武志事務局長も「正直厳しい状況だが、まだ積極的に知床に来てとは言える状況ではない。崩れ去った信頼を取り戻さなければ」と強調。事業者に一層の安全対策を促す考えを示した。
 事故の影響は知床以外にも広がる。北海道旅客船協会によると、道内全域で事故後、観光船への乗船キャンセルが相次いだという。同協会は5月末から加盟事業者向けに、安全管理規定の順守や救命胴衣の付け方などを講習する研修会を実施している。坂口睦実事務局長は「安全に運航していると知ってもらい、風評被害を払拭(ふっしょく)したい」と話す。

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