2022年フードテックのトレンド振り返り–冷凍食品文化が飛躍

東京, 12月31日, /AJMEDIA/

 2020年初頭に発生した新型コロナウイルス禍から3年が経過しようとしているが、その中でわれわれの食生活や生活スタイルそのものが大きく変化してきた。2022年はフードテックの面においてどのようなトレンドが生まれたのか、振り返っていこう。

「持ち帰り」などのニーズから冷凍食品文化が飛躍
 新型コロナウイルス感染症拡大によって消費者の食生活スタイルが大幅に変化したことで、2020年から急速に注目を集めたのが「冷凍食品」だろう。

 自動販売機大手のサンデン・リテールシステムが2021年1月に発売した冷凍自動販売機「ど冷えもん」シリーズが全国各地に設置されて話題を呼び、大手外食チェーンから個人店まで幅広く導入されることになった。ど冷えもんシリーズの設置箇所を検索できる同社提供のスマホアプリ「ど冷えもんGO」(App Store/Google Play)で確認したところ、2022年12月23日時点で全国に2362台設置されているのだから驚きだ。

 2021年8月には冷凍・冷蔵の切り替えが可能な「ど冷えもんNEO」、12月にはスリムタイプの「ど冷えもんSLIM」、2022年10月にはワイドサイズの「ど冷えもんWIDE」を発売。2023年1月にはマルチエレベーター(可動式収納棚)の採用によって大型商品や袋物商品にも対応する「ど冷えもんMULTI」と、一気呵成にラインアップを拡充している。

 飲食店の店頭などにおける冷凍食品販売をサポートするのが、大風量の冷気や液体で食品を急速凍結させる急速冷凍機だ。2013年の創業時から急速冷凍機の専門商社として展開するデイブレイクは、2021年10月に初の自社製急速冷凍機「アートロックフリーザー」を発売。2022年6月時点で累計受注台数200台を突破し、2022年9月には機能を向上した新型モデルの受注を開始した。同社は急速冷凍機を販売するだけでなく、これまでに蓄積した知見を基に食材選定から前処理方法、凍結方法、保管方法、解凍方法まで一貫したサポートを行う「トータルフリージングシステム」を提供するのが特徴だ。

 真空パックした食品を約マイナス30度のアルコールで急速凍結させる液体急速冷凍機「凍民」を製造販売するテクニカンは2022年11月に、家庭向けに急速冷凍機の技術を活用した冷凍庫「凍眠マジック MG-01」を発売した。液体をパックに入れた「液パック」で食品を包み込むことで急速冷凍するというもの。パナソニックの冷蔵庫が搭載する「はやうま冷凍」機能(2020年モデルから搭載)なども急速冷凍機能の一つだが、液体の熱伝導性の高さを生かした冷却機能というのはこれまでにないユニークなものだ。

 コロナ禍で進化が進む冷凍食文化において注目したいのが、2022年4月に国内展開がスタートしたYo-kai Express Japanの自動調理自販機だ。冷凍されたラーメンやうどんなどを独自のスチーム技術によって解凍・調理するというもの。持ち帰って調理する冷凍食品とは違ってその場で食べられることが消費者としては魅力となっており、外食産業の人手不足に対応する無人化ソリューションとしても注目されている。

 2022年9月には一風堂を展開する力の源ホールディングスと、テーブルマークを傘下に持つ日本たばこ産業と業務提携および資本提携を結んだ。2022年12月時点で国内の設置箇所はJR東日本の上野駅や首都高パーキングエリアなどの8箇所(合計9台)と少ないが、これら大企業との資本提携によって今後かなり展開が進んでいくことが期待される。

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