黒海穀物輸出、進展なし ロシア外相「ウクライナに責任」―トルコ、停戦仲介に意欲

東京, 6月9日, /AJMEDIA/

ロシアのラブロフ外相は8日、訪問先のトルコの首都アンカラでチャブシオール外相と会談し、ロシアの軍事作戦でウクライナ産穀物の黒海経由での輸出が停滞している問題などについて協議した。ラブロフ氏は会談後の共同記者会見で停滞の責任はロシアでなくウクライナ側にあると主張。輸出推進に向けた「安全回廊」の創設で具体的な進展はなかった。
 記者会見で、ラブロフ氏は黒海の安全通航について「ロシアは何の障害も設けておらず、責任を果たしている」と強調。ウクライナ側が機雷を取り除く責任を負っていると訴えた。また、ウクライナのゼレンスキー大統領が6日、穀物の安全な輸出には、海上を封鎖するロシア軍の挑発に対抗するための「対艦兵器が必要だ」と語ったことをやり玉に挙げ、ウクライナ側が安全を乱しているという認識を示した。
 トルコ側は会談で、ウクライナ南部オデッサ州沖合での機雷除去への協力など、国連も協力する「安全回廊」実現に向けた具体策を示したとみられる。ただ、ロシア側から明確な回答は得られなかったもようだ。
 一方、チャブシオール氏は会見で、ロシアとウクライナの「指導者レベルの会談」をトルコが主催したいと述べ、停戦交渉仲介への意欲を重ねて強調した。ただ、ラブロフ氏は「ウクライナは会談の条件をすぐ変える」と非難しており、現段階での首脳会談は困難な情勢だ。
 ウクライナは今回の会談に招かれなかった。ウクライナ外務省は7日の声明で「ウクライナの利益を考慮に入れない、いかなる合意も拒否する」と、頭越しの会談に強い警戒感を示した。
 トルコのエルドアン大統領は5月30日、ロシアのプーチン大統領と電話会談した後の声明で、黒海を往来する船舶の安全確保の「メカニズム」構築のために役割を果たす用意があると表明した。トルコは機雷除去のほか、黒海での衝突防止に向けた監視活動を行うことも視野に入れている。

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