英新政権に市場の洗礼 大幅減税案で「トリプル安」

東京, 9月26日, /AJMEDIA/

発足間もないトラス英新政権が市場の厳しい洗礼を浴びた。23日発表した過去半世紀で最大規模の大型減税案は、英国の通貨、株式、国債が同時に売られる「トリプル安」を誘発。食料品やエネルギーの価格高騰が国民の暮らしを圧迫する中、減税は一段の物価高や財政悪化をもたらすと懸念した投資家らが、一斉に「英国売り」に動いた格好だ。
 「新しい時代には、成長に焦点を当てた新しいアプローチが必要だ」。クワーテング財務相は下院で補正予算案を示し、トラス首相が与党保守党の党首選で公約に掲げた経済政策を実行に移すと宣言した。
 減税案は、所得税率の引き下げや法人税増税の撤回、住宅購入時の印紙税削減が柱。クワーテング氏は、光熱費がかさむ家庭・企業への支援策として、今後半年間で600億ポンド(約9兆3000億円)を支出することも明らかにした。
 英有力シンクタンクの財政研究所(IFS)によれば、減税は450億ポンド(約7兆円)規模と1972年以降で最大。政府は減税であく穴を主に借金で埋め合わせる方針で、今年度の国債発行を50%近く増額する。
 こうした「大盤振る舞い」に、23日の市場は直ちに反応した。10年物英国債は価格が急落し、利回りは約11年半ぶりに3.8%台に上昇。通貨ポンドは対ドルで37年ぶりの安値を更新し、英主要株価指数は約3カ月ぶりの安値で取引を終えた。
 英イングランド銀行(中央銀行)は22日、物価高の抑制に向けて0.5%の大幅利上げを決めたばかり。インフレを加速させかねない減税案とは対照的で、政府・中銀の足並みの乱れも投資家の不安をかき立てている。

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