安倍氏国葬9月27日 賛否交錯、手探りの準備

東京, 7月21日, /AJMEDIA/

 政府は20日、参院選遊説中に銃撃され亡くなった安倍晋三元首相の国葬を、9月27日に日本武道館(東京都千代田区)で行う方針を固めた。いまだ賛否が交錯する中、国民の幅広い理解をどう得ていくのか、手探りの準備となる。
 22日に閣議決定し、準備室を立ち上げ作業を本格化させる。関係者によると、当初は休日の開催を検討したが、日本武道館の予約は既に埋まっており、火曜日の27日になった。
 首相経験者の国葬は戦後、1967年の吉田茂氏が唯一の前例。当時の報道によれば、73カ国から弔問団が訪れ、一般参列者は3万人を超えた。神奈川県大磯町の自宅から会場の日本武道館に遺骨が運ばれる際、沿道では約11万人が見送ったという。
 政府は今回、費用を全額国費で賄う。2020年の中曽根康弘元首相の内閣・自民党合同葬では、一般会計から半額の約1億円を支出したが、これを優に上回るとの見方もある。
 首脳級を含む外国要人の参列も相当数に上るとみられ、交通規制の在り方も課題となる。政府関係者は「平日に東京23区の交通を止めれば影響がかなり大きい」と懸念を口にする。
 より複雑なのは、「国民的行事」として追悼の機運を高めていけるかだ。岸田文雄首相は、安倍氏の死去から1週間足らずで国葬を決定。国民がそれぞれどう関わるべきかの議論は後回しになった。
 国葬とする理由について、松野博一官房長官は20日の記者会見で、安倍氏の在任期間が憲政史上最長の8年8カ月に上ることや、国内外から弔意が寄せられていることなどを列挙。「政治的評価を強制するとの指摘は当たらない」と強調した。
 ただ、安倍氏をめぐっては功績をたたえる声の一方、政権当時に起きた財務省の公文書改ざん問題への対応など批判も根強い。一部の野党は「政治的立場を認め、礼賛することになる」と反発する。
 戦前の国葬令は、国葬当日を休日とし、国民全員が喪に服すこととされた。政府は「喪に服すよう押しつけるものではない」と説明。官公庁や学校などは休みとしない方針だが、半旗の扱いなど不明な部分も多い。これに関し、松野氏は会見で「現時点で決まっていることはない」と述べるにとどめた。

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