地域在住ITエンジニア・企業を増やすことの重要性–Hajimariによる長野との取り組み

東京, 12月22日, /AJMEDIA/

 ここ2年程でリモートワークが進み、働く場所の自由度が増した。この影響で、東京圏(東京・神奈川・埼玉・千葉)の人口は日本の総人口の約30%を締めており、東京圏への一極集中が見られた傾向(総務省統計局 2020年國勢調査 人口速報集計結果)から一転、総務省が2021年3月に発表した「地方への人の流れの創出」に向けた効果的移住定住推進施策によると、2021年3月の調査において、2019年まで24年間連続で東京圏への転入超過が記録されていたが、2020年7月から9月にかけて東京圏は転出超過になっている(総務省「地方への人の流れの創出」に向けた効果的移住定住推進施策事例集より)

 調査より、感染症拡大を経験して人々の地方への関心が高まっていることは明らか。地方創生の観点では今後もこうした動きに注目し、継続して地方でも東京と同じように働ける環境が必要になると考えている。

IT人材の不足とDXが推進されることによる格差問題
 2030年には約80万人のIT人材が不足するといわれている。また経済産業省によれば、2025年に直面する「DXの崖問題」に備えることが必要であると説いている。これはDXが進められない企業に向けた警告で、大きな技術的負債を抱えることになり、デジタル競争の敗者となってしまうこと。そして、最大12兆円の経済損失に繋がる危険性がある、という指摘となっている。

 IT人材が不足するなか、デジタル競争の敗者となる企業が多く出てきてしまうことが危惧される。このような状況下において、日本は今後IT人材を増やすことによってデジタル競争に立ち向かっていかなければならない。その人材資源の候補のひとつとなるのが地方で生活する人々、地方に移住する人々だと考えている。

IT人材不足に備えて、オフショアではダメなのか?
 数年前は、主に東南アジアなどでシステム開発を行うオフショア開発が流行った時期があった。オフショア開発は人件費が安いのでコストメリットがあり、人材リソースも豊富にあるためである。しかし、近年状況も少し変わってきている。ベトナムの調査によると、ベトナム人エンジニアでCTOレベルの人材の人月単価は5709ドル(約65万円)、上級のエンジニアで3722ドル(約42万円)となっている。以前よりエンジニア単価も上昇しており、コミュニケーションコストや時差も考えると以前ほどのメリットはなく、海外で安くシステム開発できるという時代は終わりに向かっているとも考えられる。

長野県の可能性
 総務省統計局の調査によると、東京都からの転出者数の前年同期差について、長野県は神奈川・千葉・埼玉に次いで第4位に位置している。ここに長野県の発展の可能性を見ることができる。

 長野県には「信州ITバレー構想」というビジョンがあり、IT技術で拓く長野県産業の新時代を掲げている。信州ITバレー推進協議会の発表によると、長野県のIT産業の現状は長野市、松本市にIT産業が集積しており、事業所数は474カ所、年間売上高1507万円(1従業員あたり)で全国20位となっている。東京は事業所数は1万1209カ所、年間売上高2572万円(1従業員あたり)であり、東京のIT産業と比べると長野のIT産業には生産性の向上が求められる。長野県内のIT投資の発注先は県外がほとんどであり、県内IT企業への発注は28.9%に留まっている。長野県内のIT事業者は技術力の向上によって県内需要を取り込み、県外(主に東京圏)からの発注を増やす余地があると言える。

 長野県は県外からのIT企業誘致を積極的に行っている。例として「おためしナガノ」や「チャレンジナガノ」など県がIT企業を支援する制度がある。「おためしナガノ」は半年間、長野での移住体験をサポートしてもらえる制度であり、弊社CTOでも「おためしナガノ」を利用している。参加者にはフリーランスや起業家も多い。参加のメリットとしては、地元の企業や不動産を紹介してもらったり、長野県の自治体の方々とも繋がりを作れるところが大きい。

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