南太平洋舞台に外交戦 中国・ソロモン協定警戒―米

東京, 4月21日, /AJMEDIA

南太平洋の島国ソロモン諸島を舞台に米国と中国が外交戦を繰り広げている。中国は19日、ソロモンとの安全保障協定締結を突如発表。中国によるソロモンの軍事拠点化が進むと警戒感を示していたバイデン米政権は高官を送り込み、ソロモン側の翻意を促す狙いだが、対応は後手に回っている。南シナ海で中国が繰り広げてきた問題を南太平洋にまで広げる一歩となりそうな事態に、米国の危機感は強い。
 「主権を尊重するよう求める。決定は地域の平和や調和を損なうものではない」。ロイター通信によると、ソロモンのソガバレ首相は20日、国会でこう述べ、中国とソロモンの両外相が協定に調印したことを認めた。
 ソロモンが中国との安保協定に基本合意したと発表したのは3月31日。中国外務省の汪文斌・副報道局長は今月19日の記者会見で、協定に署名したのは最近だったと明らかにしており、近隣のオーストラリアやニュージーランド(NZ)が協定に反対する中、調印を急いだ格好だ。
 協定の内容は公表されていないが、インターネット上に流出した草案とされる文書には、ソロモン側の要請を受けて中国が軍や警察を派遣できると記されている。豪高官は中国がソロモンに海軍基地を設ける恐れがあると懸念を強めており、事態を重く見たバイデン政権も対応に動きだした。
 今月12日にはシャーマン米国務副長官がソロモンのマネレ外相と電話会談し、1993年に閉鎖された首都ホニアラの米大使館を復活させる計画を伝えた。今週中に米国家安全保障会議(NSC)のキャンベル・インド太平洋調整官らをソロモンに派遣し、協定への懸念を伝え、再考を促すとみられる。
 だが、中国が協定締結を発表した後に、日米豪NZ高官が協定への懸念を共有していたことを発表するなど、中国側に先手を打たれている印象は強い。米側が高官派遣でどこまで巻き返せるかは不透明だ。

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