再編協議本格化に期待 自治体の対応焦点―JR各社

東京, 1月18日, /AJMEDIA/

 不採算のローカル鉄道など地域交通の再編を後押しする国の枠組みづくりが具体化してきた。これを追い風に、JR各社は沿線各地で存廃問題を含む再編協議を本格化させたい考えだ。「廃線ありき」や負担増を警戒し、国の支援見極めなどを理由に慎重姿勢だった自治体側の対応が今後焦点となる。
 JR東日本は昨年7月、利用者が少ない不採算路線66区間の収支を初めて公表。全区間が赤字で、各地の沿線自治体に厳しい現状を説明してきた。今年は「ぜひ具体的な議論に入っていきたい」(深沢祐二社長)と、バス転換なども選択肢に含めた再編協議の開始に意欲を示す。
 今月18日には、昨夏の大雨被害で運休している津軽線蟹田(青森県外ケ浜町)―三厩(同)間の在り方を巡り、JR東は沿線自治体との検討会議を開催する。同社にとって収支を公表した路線の再編協議入りは初めてとなる。国主導の再編協議会の制度導入を進める国土交通省に先行し、議論を深める構えだ。
 JR西日本も昨年4月に不採算路線の収支を初公表。沿線自治体と利用促進策を協議してきたが、存廃問題にまで踏み込むのは容易ではない。広島・岡山両県間を走る芸備線の利用促進検討会議では、自治体側が「廃止が前提のようだ」と反発し、JR西が求めた再編協議を拒否。議論は行き詰まっている。
 人口減少やコロナ禍で不採算路線の維持が難しくなってきているとの認識は、各地に広がってきた。ただ、国の再編支援制度の全容が明らかでないことを理由に、「今すぐ具体的には動けない」(伊原木隆太岡山県知事)などと再編協議に二の足を踏む自治体は少なくない。
 しかし、財政・税制措置を含め再編を促す仕組みの具体像は明確になりつつある。JR西の長谷川一明社長は「国の予算には限りがある」と述べ、自治体側は早期に協議入りするべきだと訴えている。

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