「銃口突き付け住民投票」 編入へ結果ありき―ウクライナ

東京, 9月26日, /AJMEDIA/

 ロシアのプーチン政権によるウクライナ東・南部4州の占領地編入に向けた親ロシア派の「住民投票」は、自動小銃を携えた兵士が目を光らせる中で行われた。「銃口を突き付けられた住民投票」。ウクライナではこの表現が8年ぶりに復活。2014年の南部クリミア半島併合と同じ光景が繰り返されているという思いがある。
 先進7カ国(G7)首脳も23日の共同声明で「偽の投票」「国連憲章・国際法違反」と批判した。既に2月からのウクライナ侵攻で住民の大半が避難民となり、ロシア本土への「強制連行」も疑われる中、民意を問うのは事実上不可能だ。それでもプーチン政権は「お手盛り」の結果を27、28両日に出す方針を崩していない。
 住民投票は23~26日の戸別訪問形式の後、27日に投票所で実施。ロシア大統領府筋が独立系メディアに語ったところでは、政権は「編入賛成90%」前後の結果をあらかじめ用意しているもようだ。政府系の全ロシア世論調査センターは23日、事前の調査結果として同水準の数字を発表し、正当性アピールに余念がない。
 4州の占領地のうち、東部ドネツク州マリウポリのアンドリュシェンコ市長顧問は23日、通信アプリで「投票を強制する主な手段は戸別訪問だ」と指摘。具体的には「投票箱と投票用紙を持った選管スタッフ2人と銃を携えた2人がノックしていく。住民は銃口に向かって賛成か反対を表明しなければならない」と実態を訴えた。
 重装備の兵士らが戸別訪問する防犯カメラ映像は、インターネット上に投稿された。ゼレンスキー大統領が任命した南部ヘルソン州のヤヌシェビッチ知事は米政府系放送局に対し、プーチン政権が決めた結果以外は「あり得ない」と不信感を表明。その上で「銃口を向けられた虚偽の芝居だ」と糾弾した。
 プーチン大統領は侵攻開始時、東部の住民保護を「大義」に掲げたが、今月21日の国民向け演説では「歴史的領土」と見なす範囲を「ノボロシア」と呼ばれる東・南部一帯に広げた。米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)によると、プーチン氏は軍幹部から進言されたヘルソン州からの撤退を拒否したといい、住民投票の強行につながったとみられる。

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