2022年の半導体市場で起きていたこと–「誰が数年後のパイを大きく切り取るか」

東京, 12月30日, /AJMEDIA/

 2022年の半導体市場を振り返ると、3つのキーワードが浮かび上がってくる。1つ目は「地政学的な再編」、2つ目が「市場のスローダウン」、そして最後に「将来への投資」が来る。

 地政学的な再編とは、台湾、韓国、中国という東アジアに最先端のプロセスノードを製造する工場が集中していることに欧米の政府が気付き、それを欧米に戻す動きを加速したことだ。市場のスローダウンは、各社の第2四半期(4月〜6月期)〜第3四半期(7月〜9月期)にPCやスマートフォン向けのSoC、そしてその周辺部分などの製品を中心に、出荷数が前年同期に比べてマイナスになっていること。

 需要が弱くなっているのにもかかわらず、半導体メーカーは2024年に向けて工場建設を加速するなど強気の投資を行なっていることが「将来への投資」となる。その背景には現状は短期的に厳しい経済状況にあっても、今後半導体の需要はより増えていくことはあれ、減ることは考えられないと半導体メーカー各社は考えているからだ。

 つまり、現状起きていることは、その予想される数年後のより大きな需要というパイを、できるだけ自分のために大きく切り取っておきたい、そういう投資合戦ということだ。

Intel CEO「半導体産業は戦略転換点にある」–その理由とは
 5月にIntelがテキサス州ダラス市の巨大空港「ダラス・フォートワース空港」近くで開催したプライベートカンファレンス「Intel Vision」で、Interl CEOのパット・ゲルシンガー氏は「今半導体産業は戦略転換点に来ている」と述べ、半導体産業全体として戦略を転換し、新しい時代に入っていくべきだと述べた。

 戦略転換点(Strategic Inflection Point)は、同社創業者の一人であるアンディ・グローブ氏の著書のタイトルともなっている言葉で、市場の環境が変わっていることをいち早くつかみ、それに合わせて国家や企業の戦略も変えていくべきだという意味になる。ゲルシンガー氏が戦略転換点という言葉を使って半導体産業が変わるべきだと訴えた背景には、欧米の政府が半導体産業の国家戦略的な重み付けを変えて、半導体が「戦略的製品」と位置づけ直したことがある。

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