NATO機、ウクライナ領空飛行 西部国境から50キロ、偵察活動―英情報筋

東京, 5月17日, /AJMEDIA/

英情報筋は16日までに、ロシア軍の侵攻が続くウクライナの西部領空に北大西洋条約機構(NATO)側の偵察機が進入し、東部のロシア軍の動きをリアルタイムで監視、ウクライナ軍と情報を共有していると明らかにした。ウクライナはこれを基にロシア地上部隊の位置を高精度で特定。米欧が供与した榴弾(りゅうだん)砲を使い、攻撃を強化している。
 同筋は「ロシア軍はこの攻撃に対して何ら防御手段を持たず、ただ混乱している」と話した。
 ウクライナ領空に入っての偵察は最近、始まった。空域、対地上監視それぞれの能力を持つ早期警戒管制機に戦闘機2機が随伴し、ポーランド国境から約50キロのリビウ周辺を飛行しているという。
 NATO側は「ウクライナ政府から許可を得た上で実施している監視活動であり、軍事行動ではない」と位置付けている。ロシア空軍が戦闘機を接近させるなどして偵察活動を阻む動きは、これまでのところない。西側情報関係者の間では、ウクライナに情報を提供するだけでなく、「ロシアの出方を試すのも目的ではないか」との見方がある。
 NATOは飛行で得た偵察情報を米英の連絡要員を通じてウクライナ軍に通知。ウクライナ軍はそれを受け、無人機を使って標的とするロシア部隊の正確な位置を特定する。攻撃には標的から20キロ程度後方に配置された榴弾砲が使われている。最新のレーザー誘導砲弾のため、ロシアの戦車や装甲車は「串刺しにされるよう」(英情報筋)に破壊されているという。
 ロシア軍は4月中旬、東部ドンバス地方の支配地域拡大を目指して攻勢に出たが、「勢いを失い、予定よりも大幅に遅れている」(英国防省)状況にある。背景にNATO側による情報共有の強化と、榴弾砲をはじめとする米欧から供与された高性能兵器の存在があるようだ。
 米国防総省高官は今月13日、米国が供与予定の榴弾砲90門の大半が既に前線に配置済みで、ウクライナの砲兵から有効性について「極めて高い評価」を得ていると述べていた。

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