香港からの移住、伸び悩み 審査厳格化も背景―台湾

東京, 7月2日, /AJMEDIA/

1日に中国への返還25年を迎えた香港から台湾への移住者数が伸び悩んでいる。台湾移民署によると、昨年は前年比360人増の1万1173人。過去最多を更新したものの、中国による香港への統制が加速する中でも、ほぼ横ばいにとどまった。移住者支援団体幹部の徐百弟氏は「台湾は要件が厳しい」と嘆いている。
 自由と民主主義の価値観を掲げる台湾では、香港での国家安全維持法制定の流れを受け、蔡英文総統が早々に香港人への人道支援を表明した。市民の多くも移住受け入れを支持している。
 ただ、中国からの統一圧力に脅かされているのは台湾も同じだ。香港からの移民増加で台湾に対する中国の圧力が強まったり、移民に紛れて中国の工作員が流入したりといった安全保障上の懸念も根強い。
 台湾にはもともと、亡命や難民に関する法律がない。代わりに、ビジネスで台湾へ貢献する「投資移民」として許可を得るなどの方法がある。しかし、香港からの移民に対する懸念を背景に、政府は2020年、虚偽の申請を防ぐためとして、台湾人従業員の雇用を義務付けるなど要件を厳格化した。
 また、中国本土で生まれた人や、香港の公的機関で働いた経験がある人も申請できない。台湾の民主・人権NGO、華人民主書院協会の曽建元・理事長は「統治下にこそないが、台湾人が中国の共産党政権から受けている精神的な制約は明白だ」と指摘する。

Follow us on social

Facebook Twitter Youtube

Related Posts