遺族「早く引き取りを」 インド列車事故、約80人身元不明

東京, 6月10日, /AJMEDIA/

【ブバネシュワル(インド東部)時事】インド東部オディシャ州で2日起きた列車衝突事故では、犠牲者288人のうち、いまだ約80人の身元が分かっていない。確認作業は続いており、遺族は早期の引き取りを望んでいる。
過失致死容疑で捜査開始 270人超死亡の列車事故―インド

 同州の州都ブバネシュワルにある医科大学の施設。8日、集まった人々が入り口に設置されたスクリーンを食い入るように見詰めていた。映っているのは事故に巻き込まれた乗客の変わり果てた姿だ。事故現場から170キロ以上離れたこの施設には、150人以上の遺体が搬送されてきた。
 東部ビハール州から訪れた建設作業員のビジェンデル・リシさん(45)は、事故に巻き込まれた列車に21歳の息子が乗っていたと話す。息子からスマホに届いた最後の連絡は、列車に乗る前に駅で友人と撮った写真だった。
 施設に安置されている遺体の服装と、息子が当時着ていた服装の特徴が一致した。しかし、DNA型鑑定の結果待ちのため、まだ引き取ることはできずにいる。
 息子は住宅建設の仕事のため、南部の大都市チェンナイに向かっていたという。「とても誠実な性格だった。亡くなったのは神の意思。(死を)受け入れなければならないが、とても悲しい。遺体を引き取って故郷に帰りたい。他には何も望まない」と声を震わせた。
 ビハール州の塗装工ムハンマド・クルバンさん(30)は、チェンナイの建設現場で働いていた兄(32)を捜している。事故直後に現場近くの病院を訪れたが手掛かりはなく、この施設を紹介された。しかし判別は難しく、DNA型鑑定を依頼するという。
 捜し始めて約1週間。長距離移動の疲労がにじみ、シャツには乾いた汗が白く浮き出ていた。「兄は結婚する妹のため、出稼ぎに行ってお金をためていた」。そう言って目頭を押さえた。
 事故が起きた路線は東側の沿岸地域を南北に貫く大動脈。東部コルカタとチェンナイの大都市間を結んでおり、事故当時も出稼ぎに向かう多くの労働者を乗せていたとみられる。コルカタより北に位置するビハール州は最も貧しい州の一つとして知られる。

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