米、「力の空白」を警戒 対中念頭に関与継続へ―初の中東訪問・バイデン大統領

東京, 7月18日, /AJMEDIA/

バイデン米大統領は就任後初となった中東歴訪でイスラエルやサウジアラビアを訪れ、この地域への関与を続ける姿勢を鮮明にした。昨年8月のアフガニスタンからの米軍撤収などで存在感の低下が懸念されていたが、バイデン政権は「力の空白」が生じる事態を警戒。中東諸国に接近する中国やロシアに対抗する狙いがある。
 「中国やロシア、イランが埋めてしまう空白を残したまま、立ち去ることはしない」。バイデン氏は16日、サウジ西部ジッダで開かれた湾岸協力会議(GCC)と周辺国との首脳会合に出席し、こう強調した。サウジ入りした15日の記者会見では「将来を見据え、再び米国をこの地域に位置付ける訪問だ」と述べ、中東諸国との協力強化を進める意向を表明した。
 13日のイスラエル訪問から始まった外遊は、同盟国をはじめとする中東諸国との「関係を刷新する」(米紙ニューヨーク・タイムズ)歴訪となった。
 対イランでぎくしゃくしていたイスラエルとは、イランの核保有阻止に向け「国家のあらゆる力を使う用意がある」と明記した共同宣言を出し、良好な関係を演出。サウジでは人権問題で関係が冷え込んでいたムハンマド皇太子と会談し、エネルギー市場の安定化に取り組むことを確認した。
 中国との競争に外交政策の重心をシフトする米国は、2001年9月の米同時テロに端を発したアフガン、イラクとの戦争から手を引き、中東地域への関与を縮小した。だが、ロシアや中国がその隙に付け込み、接近を図る。今年1月には湾岸4カ国の外相とGCC事務局長が訪中。ウクライナ侵攻をめぐり、中東諸国は対ロ非難を控え、中立を貫く。
 米国とサウジは15日の会談で、高速大容量規格「5G」や次世代の「6G」の整備や技術開発で協力することに合意。バイデン氏は会談後の記者会見で、こうした取り組みで「中国を打ち負かす」と述べ、中東地域で浸透を図る中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)への対抗意識をむき出しにした。
 「米国はパートナーであり続ける」。バイデン氏は16日の会合で居並ぶ中東諸国の首脳を前にこう宣言した。だが、中ロとの対決を「民主主義対専制主義の闘い」と位置付ける一方、強権的な統治を行う中東諸国をパートナーにすることへの批判は米国内で根強い。人権重視を掲げるバイデン氏だけに、難しいかじ取りを迫られている。

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