独首相、地方選連敗で逆風 人気低下、緑の党に押され

東京, 5月17日, /AJMEDIA/

ドイツのショルツ首相に逆風が吹いている。所属する社会民主党(SPD)が地方選で連敗し、首相個人の人気も低下。ウクライナ危機対応でも、過去に親ロシア的政策を進めてきたSPDより、対ロで強硬な緑の党に支持が集まっている。両党は国政で連立を組んでおり、政権内の力学に影響を及ぼしそうだ。
 SPDは8日の北部シュレスウィヒ・ホルシュタイン、15日のノルトライン・ウェストファーレン(NRW)の両州議選で、過去最低の得票率を記録し、2大政党のライバル、キリスト教民主同盟(CDU)に完敗。特に最多の約1800万人の人口を抱える企業集積地、NRW州の選挙は「小総選挙」に位置付けられ、敗北は大きな打撃だ。
 SPDは、過去にロシアからのガス輸入を積極的に進めるなど伝統的に親ロ的で、ウクライナへの大型兵器供与などに消極的だった。ウクライナ危機を受けて、ショルツ氏や、SPD所属のランブレヒト国防相への批判が強まった。両州議選は地域的要因が結果を左右したが、公共放送ARDは、首相を出している党を後押しする「首相ボーナス」がなかったことも敗因の一つだと報じた。
 一方、緑の党は両州議選で得票を伸ばし、特にNRW州では前回から約3倍に躍進した。人権の観点からこれまでロシアに厳しい態度を取ってきた緑の党は、所属するベーアボック外相が政権内で率先してロシアを批判。大型兵器供与も積極的に支持してきた。同党所属のハーベック経済・気候保護相もエネルギーの対ロ依存引き下げを急速に進め、各世論調査での両氏の人気はショルツ氏を上回る。
 NRW州ではSPDは敗北したが、CDU中心の現州連立与党も過半数には届かなかった。緑の党が連立交渉のカギを握って新たに州与党入りすることが濃厚で、同党の影響力が国政でも一段と強まることになりそうだ。

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