独、ぶれる対中政策 「政冷経熱」模索も不透明感

東京, 11月4日, /AJMEDIA/

ドイツのショルツ首相は4日、中国を訪れ、習近平国家主席と会談する。ショルツ政権は中国と蜜月関係を築いたメルケル前政権と異なり、政治的に中国と距離を取る姿勢を示してきた。しかし、経済面で深まった依存を断ち切れず、逆に関係強化の動きを見せ始めている。日中関係を表現する際に使われた、政治面で緊張しても経済交流は活発に行う「政冷経熱」が独中間で成立するのか、ぶれが目立つドイツの対中政策の見通しは不透明だ。
 昨年12月に就任したショルツ氏は、中国偏重のアジア政策の修正を掲げ、日本や韓国、オーストラリアなどとの関係を重視。アジアの初外遊先に日本を選んだ。軍事面でもインド太平洋への関与を強め、今年に入り初めて空軍がオーストラリアで行われた計17カ国の合同軍事演習に参加するなど、中国をけん制する構えを示している。
 ただ、ショルツ氏は「中国のデカップリング(分断)は回避すべきだ」として、経済関係の維持も主張。10月には国内最大の港湾であるハンブルク港に、中国企業の出資を許す決定を下した。習主席の3期目開始後、先進7カ国(G7)首脳では初となるショルツ氏の訪中には、経済界の代表団も同行する。頻繁に中国を訪れ、大型契約を手土産にしてきたメルケル氏をほうふつとさせる。
 こうしたショルツ氏の対中姿勢には、政権内でも異論が出ている。ベーアボック外相は、訪中では「公正な競争や人権、国際法の順守が協力の基礎だと明確にすべきだ」とくぎを刺した。
 欧州諸国も中国との相互依存深化への警戒を強めている。ウクライナ侵攻を踏まえたロシアへの経済制裁で、ロシアへのエネルギー依存が高かった欧州は、高い代償を払ったためだ。
 米政治専門紙ポリティコによると、イタリアのドラギ前首相は退任間際に出席した10月の欧州連合(EU)首脳会議で、ロシアに無警戒だった過ちを「繰り返してはならない」と強調。「通常のビジネスに見えるものも、中国のシステムの一部だ」と述べ、取り込まれるリスクに警鐘を鳴らした。

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