物価と成長の両立「狭き道」 引き締めで景気減速鮮明―米FRB

東京, 7月29日, /AJMEDIA/

米連邦準備制度理事会(FRB)は27日の連邦公開市場委員会(FOMC)で、2会合連続で通常の3倍となる0.75%の利上げを決めた。異例の大幅引き上げで記録的な高インフレを抑制し、経済成長も維持させるシナリオを描くが、両立できる道筋は「明らかに狭くなっている」(パウエル議長)状況だ。
 「米経済は現時点でリセッション(景気後退)に陥っていない」。パウエル氏は会合後の記者会見で、新型コロナウイルス危機直前の水準に改善しつつある失業率など、好調な雇用情勢を指摘。忍び寄る景気悪化への懸念払拭(ふっしょく)に努めた。
 しかし、FRBが物価高抑制へ急激な利上げを進めた結果、住宅ローン金利が大幅に上昇。「個人消費、設備や住宅への投資は明確に減速している」と認めざるを得なかった。
 一方で、6月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比9.1%上昇と約40年半ぶりの高い伸びを記録した。コロナ危機で収縮した需要が一気に膨らんだことに加え、ウクライナ情勢を受けた原油や穀物の価格高騰が重なり、著しい物価高を招いた。
 根強いインフレ圧力を封じ込めるため、FRBは景気を一段と冷ます必要にも迫られている。そのため、9月の次回会合で追加の大幅利上げも視野に入れる。
 パウエル氏は「物価が安定しなければ経済は機能しない」と、インフレ対策に軸足を置く考えだ。ただ、今回の利上げで政策金利はFRBが景気を熱しも冷やしもしない「中立的」とみる2%台半ばに達した。景気鈍化が鮮明になる中で「(利上げペースを)会合ごとに決める時期だ」と、急ピッチな引き締め一辺倒からの軌道修正をにじませた。

Follow us on social

Facebook Twitter Youtube

Related Posts