正念場の国際協調体制 「ブロック経済」再来に懸念

東京, 4月27日, /AJMEDIA

第2次世界大戦後に構築された国際経済協調の枠組みが正念場に立たされている。ロシアのウクライナ侵攻後初めて開かれた20カ国・地域(G20)閣僚級会合などの国際会議は、ロシア非難をめぐり先進国と新興国の対立が露呈。共同声明がすべて見送られる異例の状況となった。世界経済が異なる陣営に割れた戦前や東西冷戦時代の「ブロック化」が再来することへの懸念が強まっている。
 「戦争とそれに関連する行動が世界の景気回復を妨げる」。米首都ワシントンで20日開かれたG20財務相・中央銀行総裁会議で、ロシアは自国の戦争責任が記された共同声明の採択を拒否。中国など友好国が同調する一方、米英カナダがロシアの参加に抗議して会議を退席する事態となり、世界が直面する課題に結束して対応するための議論は素通りになった。
 国際通貨基金(IMF)、世界銀行、世界貿易機関(WTO)を軸とする「ブレトンウッズ体制」は、第2次大戦後の経済・金融秩序を支える枠組みとして米主導で出来上がった。しかし、米シンクタンク外交問題評議会のハース会長は、ロシアの侵攻が「国際協調体制の転換点になる」と断言する。
 中ロとの溝が深まる中、イエレン米財務長官は「信頼できる国との自由で安全な多国間連携が望ましい」と主張。ブレトンウッズ体制を改革する必要性に初めて言及した。エネルギー輸出を政治利用するロシア、医療物資やレアアースを囲い込む中国など、経済安全保障上の脅威とみなす敵対国を締め出す考えだ。
 これに対し、ロシアのシルアノフ財務相は、対ロ経済制裁の手段として使われた基軸通貨ドルは「信頼が損なわれた」と反論。新華社電によると、中国の劉昆財政相は、ドルを武器に使う米国を批判したロシアを擁護した。中国は新興国に人民元の使用を促し、基軸通貨化を狙う。
 世界は1930年代、恐慌をきっかけに関税引き上げなど保護主義や経済ブロック化に走り、第2次大戦という悲劇を招いた。米中の覇権競争に加え、ウクライナ侵攻をめぐる西側諸国と中ロなど新興国の対立が先鋭化することで「ブロック経済が再来する」(ハース会長)と警告する声が出ている。

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