東芝再建、検討ヤマ場 非上場化3案、不透明感も

東京, 9月14日, /AJMEDIA/

 東芝再建をめぐる検討がヤマ場を迎えている。同社は現在、国内外の投資家から公募した戦略的提案4件を精査中。うち3件は東芝を買収し、非上場化するとの提案だ。島田太郎社長は最終決定には「すべての利害関係者の納得が必要」とするが、複雑な株主構造を抱えるだけに、先行きには不透明感も漂う。
 東芝特別委員会のジェリー・ブラック委員長(社外取締役)は12日、取材に応じ、「検討は建設的かつオープンでフェアに行われている。長期的な企業価値を創造できるかが大きなポイント」と指摘。具体的なスケジュールは示さなかったが、「できる限り早いタイミングで開示する」と述べた。
 東芝は昨年4月に英投資ファンドから買収提案を受けて以降、経営の混乱が続く。1年間で2度社長が交代したほか、経営再建に向けたグループ分割案は今年3月の臨時株主総会で否決され、再建案を公募する方針に転換した。
 背景には、2017年の巨額増資をきっかけに発言力が強まる「物言う株主」の存在がある。ブラック氏は「東芝の変革のためには、将来に向けた議論を開かれた形で株主と行い、支持を得るべきだ」と強調した。
 島田氏はエレベーターなどのインフラ事業で得られるデータを活用し、デジタル事業を強化する方針を掲げる。新たな戦略に腰を据えて取り組むには、経営の安定が欠かせない。
 ただ、東芝は原子力や防衛といった安全保障に直結する事業を展開し、海外からの出資は外為法の規制を受ける。非上場化の場合、買収価格は2兆~3兆円に達するとみられ、資金面のハードルも高い。このため「取引が成立しないのではないか」(ファンド関係者)との見方も根強く、経営の混迷が収束するかどうかはまだ見通せない。

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