戦争終結へ道筋描けず 1.5兆円兵器供与も―「第3次大戦」「核」懸念・米政権

東京, 8月24日, /AJMEDIA/

ロシアの軍事侵攻に対し、バイデン米政権は大規模な兵器供与を実施し、ウクライナ軍を支えている。だが、ロシアが核兵器使用に踏み切る事態を懸念する米国は、高性能の武器でウクライナが局面打開を図ることに慎重な姿勢を見せており、戦争終結への道筋は描けていない。
 バイデン政権がウクライナに実施した軍事支援は総額106億ドル(約1兆4500億円)近くに上る。5月には米議会が兵器供与や人道支援を含む400億ドル(約5兆5000億円)規模の追加予算案を可決。バイデン氏は6月、「必要な限り支える。どう終結するかは分からないが、ウクライナの敗北で終わることはない」と述べ、支援継続の構えを打ち出している。
 2月の侵攻開始後、米政府は対戦車ミサイル「ジャベリン」や携帯式防空ミサイル「スティンガー」を供与。ウクライナ首都キーウ(キエフ)攻略に失敗したロシア軍が東部制圧に矛先を変えると、6月には射程80キロのロケット弾と共に高機動ロケット砲システム「ハイマース」の投入にも踏み切った。
 だが、米紙ワシントン・ポスト(電子版)は今月12日、「反転攻勢に十分な数の武器を持っていない」と語るウクライナ政府関係者の話を報道。米欧によるさらなる軍事支援への期待はウクライナ側に根強い。
 サリバン米大統領補佐官(国家安全保障担当)は7月、シンクタンクの会合で米側の兵器供与の規模は十分だとの認識を示した。米国の目的は「第3次大戦へとつながる状況に陥らないことだ」とも語り、ロシアにとってより脅威となる、ハイマースから発射可能な地対地ミサイル「ATACMS」(射程300キロ)について、バイデン氏は提供しない方針だと説明した。
 元米高官や元米軍幹部ら19人は今月17日、政治専門紙ザ・ヒルで書簡を公表し、「ウクライナの要求を満たすため、より迅速に戦略的に動くべきだ」と主張。バイデン政権にATACMSなどを供与するよう求めた。
 書簡に名前を連ねたハーブスト元駐ウクライナ米大使は時事通信の取材に対し、「バイデン政権は武器を送ることに慎重過ぎる。プーチン(ロシア大統領)の核に威嚇されてしまっているからだ」と指摘する。
 ハーブスト氏はその上で、プーチン氏はあくまで「威嚇の手段」として核を利用し、使用の意図はないと分析。米国も核保有国であり、「核抑止は機能している」と語り、核の脅しに動じず、ウクライナへの兵器供与を強化すべきだと訴えている。

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