列車事故1週間、続く原因究明 「今世紀最悪」、政府批判も―インド

東京, 6月10日, /AJMEDIA/

【ブバネシュワル(インド東部)時事】インド東部オディシャ州で起きた列車衝突事故から9日で1週間がたった。州政府によると、死者は同日時点で288人。負傷者は1100人超で、「国内における今世紀最悪の事故」と報じられている。原因究明に向けた作業が続いている。
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 事故は同州バラソールで2日夜発生。地元メディアが伝えた鉄道当局の初期調査によると、旅客列車が分岐器(ポイント)で進路を変更し、線路上に止まっていた貨物列車に衝突。脱線したところに対向してきた別の旅客列車が突っ込んだ。
 列車の運行制御システムの不具合や信号機の誤表示により、旅客列車が誤った線路に進入した可能性が指摘されている。鉄道当局による原因の調査に加え、中央捜査局(CBI)が過失致死容疑などでの立件を視野に調べを進めている。
 野党は事故を防げなかった政府への批判を強めている。報道によれば、最大野党・国民会議派の広報担当者は7日の記者会見で、線路の保守に関する予算の削減に加え、衝突自動回避装置の導入が進んでいなかったことを挙げ、「CBIはモディ首相とバイシュナブ鉄道相の過失を立件すべきだ」と主張した。
 人口14億人を超えるインドで、乗車料金の安い鉄道は国民の主要な移動手段だ。脱線などの事故の件数は減少傾向にあるものの、多くの死傷者を伴う事故はたびたび起きている。
 インド国鉄の元エンジニアで鉄道専門家のアロック・クマール・ベルマ氏は「根本的な原因は、主要な線路で適正本数をはるかに超える列車が運行され、渋滞が起きていることだ」と指摘する。線路の過密状態は設備のメンテナンスが行き届かなくなるなど、安全面で悪影響をもたらすという。
 同氏は「政府は一般の鉄道網から切り離された高速鉄道の建設に資金を投じるより、安全性を高め、運行速度を上げるため既存設備の更新や新路線の追加を優先すべきだ」と訴えた。

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