人権侵害阻止へ輸出管理 日米欧主導、中国念頭に―民主主義サミット

東京, 12月11日, /AJMEDIA/

バイデン米政権は9日、米国主催の「民主主義サミット」開会に合わせて「民主主義再生構想」を発表し、人権侵害を助長しかねないデジタル監視技術の輸出管理強化に向けて多国間の枠組みを新設すると表明した。主に中国の権威主義に対抗し、日米欧がルール作りを主導する。経済安全保障対応を急ぐ日本企業も対応を迫られる。
 新枠組みは「輸出管理・人権イニシアチブ」。多国間の輸出管理で人権侵害の阻止を目指す枠組みは初めて。新疆ウイグル自治区や香港などで弾圧に動く中国をけん制する狙いだ。監視カメラの顔認証に使われる人工知能(AI)や、IT機器を通じて情報を抜き取るスパイウエア、遺伝子解析など幅広い技術が規制対象となる。
 米政府は中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)や中国監視カメラ大手の杭州海康威視数字技術(ハイクビジョン)などへの輸出を事実上禁止している。ただ、米国第一を掲げたトランプ前米政権が独自に対中輸出規制を拡大したことで、他国との足並みは十分にそろっていない。
 新枠組みでは主要国が連携して規制の効果を高める。日米欧のほか、半導体生産に強みのある台湾なども加わるとみられる。輸出規制の対象品目や輸出許可基準を盛り込んだ「行動規範」を策定し、参加国・地域が必要に応じて自国の規制に反映させる。
 多国間の輸出管理の枠組みには、東西冷戦後に先端技術の軍事転用を防ぐ目的で設立された「ワッセナー協約」があり、日本を含む42カ国が参加している。だが、意思決定に時間がかかる問題点が指摘されてきた。
 民主主義国家にとって、民間利用を想定した先端技術の適切な管理は重要な課題だ。米国は、経済圏構想「一帯一路」を通じてファーウェイ製品の輸出を推進する中国を警戒。中国企業だけでなく、スパイウエアやサイバー製品の開発に関与したイスラエルとロシアの企業への制裁も強化している。

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