中国主席、欧州連携にくさび 仏大統領歓待、EU委員長と応酬

東京, 4月8日, /AJMEDIA/

【北京時事】中国に融和的なフランスのマクロン大統領、強硬な欧州連合(EU)のフォンデアライエン欧州委員長。北京で6日行われた中国の習近平国家主席との会談では、両者の温度差が浮き彫りになった。米欧の対中包囲網形成を警戒する習氏はマクロン氏を取り込もうと歓待。欧州内の連携にくさびを打ち込む狙いが透けて見える。
「中仏は意見の違いや束縛を乗り越え、真の多国間主義を実践する能力と責任がある」。中国外務省の発表によると、中仏首脳会談で習氏はマクロン氏にこう語り掛けた。
 習政権は同盟・友好国を束ねて中国に対抗する米国を「偽の多国間主義」と批判し、対義語として「真の多国間主義」を多用する。マクロン氏はウクライナ侵攻を続けるロシアに武器を供与しないよう習氏にくぎを刺す一幕もあったが、フランスは伝統的に米主導の国際秩序とは一線を画しており、「独立自主外交を堅持し、陣営対立に反対する」と応じた。
 一方のフォンデアライエン氏は、もともと中国の人権問題や中ロ接近への警戒心が強く、会談では台湾を巡り習氏と応酬。「(台湾問題に関して)言い掛かりは許さない」と述べる習氏に対し、フォンデアライエン氏は会談後の記者会見で「一方的な力による現状変更」への反対を表明し、台湾へ統一圧力を強める習氏をけん制した。
 マクロン氏はEUの「一致した考え」を示す狙いからフォンデアライエン氏の同行を招請したが、結果的には一枚岩ではない欧州の姿を露呈する格好となった。習氏はマクロン氏のみ公式訪問として招き、北京と広東省広州で2夜連続の夕食会を共にするなど異例の厚遇ぶりだ。
 中国側はマクロン氏の訪中に当たり、国連安全保障理事会の常任理事国である点をたびたび指摘してフランスの重要性を強調。米英仏中ロ5カ国で構成する常任理事国のうちフランスを引き寄せ、中国に有利な国際秩序を構築する意欲がうかがえる。習氏はマクロン氏との会談で「中仏は国連安保理常任理事国かつ独立自主の伝統を持つ大国であり、世界の多極化の推進者だ」と強調した。

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