中国で香港の存在感低下 経済規模、2割から2%に―返還25年

東京, 7月4日, /AJMEDIA/

香港の中国返還から25年。この間に中国は急速な経済成長を遂げ、米国に次ぐ世界2位の経済大国に浮上した。1997年に中国の2割近かった香港の経済規模は、2021年には約2%へ縮小。香港の存在感が低下している。
 首都北京の外港として知られる天津港。多くのトラックが出入りし、埠頭(ふとう)には何隻ものコンテナ船が停泊していた。日本港湾協会などによると、同港の20年のコンテナ取扱量は過去最多となり、香港港を上回った。
 中国では01年の世界貿易機関(WTO)加盟をきっかけに貿易が急拡大。各地で港湾整備が進み、国際航路が相次いで新設された。これにより中国で生産を手掛ける企業が製品や部品の輸出拠点を香港から本土へ切り替える動きが本格化。コンテナ取扱量が97年に世界首位だった香港港の順位は年々下がり、20年には上海港、深セン港、広州港などより低い9位となった。天津港の関係者は「今や日本や米国へ直接航路が設定されている」と話す。
 もっとも、中国にとって香港が重要であることに変わりはない。「一国二制度」の下、香港では本土と異なる税制や法体系が適用されている。中国の企業は、その仕組みを利用して、海外へ製品を輸出する際に関税負担を軽減できる。香港の自由な金融市場を通し、米ドルなど外貨の調達も容易だ。
 日中貿易筋は、中国が「国家統一」を急ぐ中、香港に対する中国の影響力は今後も強まると予想する。ただ、中国には資本規制などが残っているため、上海や深センが香港の役割を完全に代替することはできないと指摘。中国における香港の存在感は「弱まりながらも残り続ける」と分析した。

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