ユーロ圏、景気後退懸念強まる ガス危機が重しに

東京, 8月25日, /AJMEDIA/

ユーロ圏諸国が今冬に景気後退入りするとの懸念が強まっている。ロシアのウクライナ侵攻をめぐり、米欧との対立を深めるロシアが欧州向けガス供給を絞ったことでガス価格が高騰し、ロシア産エネルギーに大きく依存するドイツを中心に景気を下押ししている。侵攻開始から半年が経過し、経済面での影響が鮮明になってきた。
 23日発表の8月のユーロ圏総合購買担当者景況指数(PMI)速報値は49.2と、景気の拡大・縮小を判断する節目の50を2カ月連続で割り込んだ。各国が新型コロナウイルス禍で厳しいロックダウン(都市封鎖)を行っていた昨年2月以来、1年半ぶりの低水準。ユーロ相場は同日、対ドルで約20年ぶりの安値を付けた。
 独コメルツバンクのエコノミスト、クリストフ・ワイル氏は「ユーロ圏は景気後退の瀬戸際にある」と指摘。ガスをはじめとする物価高が消費や企業の投資を圧迫していると分析した。
 欧州による経済制裁に反発するロシアは、パイプライン「ノルドストリーム」を経由したドイツへのガス供給量を最大供給可能量の2割まで削減。欧州のガス価格指標であるTTFは、23日時点で過去10年平均の14倍まで高騰した。
 ロシア産ガスの輸入が困難になったドイツのガス会社は市場での割高なガスの調達を迫られ、最大手ユニパーは今年上半期に120億ユーロ(約1兆6000億円)の巨額赤字を計上。ガス会社救済のため、消費者や企業のガス料金に「賦課金」を上乗せすることが決まり、さらに景気を冷やすことが懸念されている。

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