マルコス新大統領が就任 対中姿勢は二転三転―比

東京, 7月1日, /AJMEDIA/

フィリピンのフェルディナンド・マルコス大統領が30日、就任した。新型コロナウイルスで打撃を受けた経済を「より良く再建する」と宣言。ドゥテルテ前大統領の主要施策の一部を引き継ぐ方針だが、対中国では姿勢が二転三転している。
 マルコス氏は就任演説で「より良い再建」を誓った後、20年余りにわたり独裁体制を敷いた父の故マルコス元大統領に言及。「以前の政権と比べ、多くの良質な道路と多くの米をつくった」とたたえた。ドゥテルテ氏についても「父の後の歴代政権より多くの良いものを建てた」と称賛した。
 マルコス氏はこれまでに、ドゥテルテ氏が推し進めたインフラ整備や「麻薬戦争」と称される違法薬物取り締まりを継続する意向を表明した。ただ、麻薬戦争では少なくとも7000人の容疑者らが「摘発現場」で裁判を経ずに殺害され、国内外から非難を浴びており、マルコス氏は「(当局の)執行だけでは限界がある」と発言。「(依存症の)予防と治療が必要だ」と唱えている。
 対外政策では前政権の「独立外交」継承を掲げるが、中国に対する方針は変遷している。大統領選ではドゥテルテ氏と同様の融和姿勢を示したが、当選後に一転。南シナ海における中国の主張を退けたオランダ・ハーグの仲裁裁判所の判決を支持し、排他的経済水域(EEZ)内に「1ミリも侵入させない」と強調した。
 ところが、6月には中国を「友人」と呼び、「関係をより強く深くし、偉大な両国の利益を図る」と発言。就任式の後に組まれた各国代表団との会談も中国が最初で、米国や日本が続いた。
 ドゥテルテ氏と比べ政策に独自色が乏しい中、農相を自身が兼務する。ロシアによるウクライナ侵攻を契機に深刻化している食料危機に対応するためで、就任演説でも「食料は単なる商品ではなく、国民の生死に関わる」と語った。

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