プーチン氏、重なる独裁者像 没後70年のスターリン評価―ウクライナ侵攻に突き進む

東京, 3月7日, /AJMEDIA/

ソ連の最高指導者に29年間君臨したスターリンの死から5日で70年を迎えた。ロシアのプーチン大統領は愛国主義と共にこの独裁者の再評価を進め、昨年2月にウクライナ侵攻へと突き進んだ。内外でスターリンとプーチン氏を重ね合わせる論調は強い。
◇内外の敵はナチス
 スターリンは1953年3月1日に脳卒中を起こし、同5日に死去した。74歳だった。
 独裁者の名を冠し、かつてスターリングラードと呼ばれた南部ボルゴグラード。戦勝記念公園「ママエフの丘」の博物館脇に最近、第2次大戦の激戦終結から80年を記念してスターリンの胸像が完成した。
 胸像近くには、スターリンの「大粛清」犠牲者の記念碑がある。独立系メディアは「120メートルしか離れていない」ことを問題視した。
 攻防戦の終結記念日の2月2日、プーチン氏はママエフの丘を訪れた。演説では、ウクライナを支援する西側諸国を、ソ連に攻め込んだナチス・ドイツと同一視。「ナチズムの思想は現代的な形でわが国の安全保障に直接脅威をもたらしている」と主張した。
 こうした発想は、リベラル派の弾圧に「乱用」されている。スターリン時代の弾圧を記録し続け、昨年のノーベル平和賞を受賞した人権団体「メモリアル」は「外国のスパイ」に指定。プーチン政権から敵視され、2021年には最高裁から解散命令が出ている。
 今月3日には当局が、メモリアルのスタッフ数人が「ナチズムの復権」を企てたと決め付け、捜査を開始した。
 ◇負のイメージ消失
 事実、プーチン政権の政策は「奏功」しており、独立系世論調査機関レバダ・センターによると「スターリンは偉大な指導者だと思う」と答えた人は、16年の28%から21年の56%に倍増。こうした中、ウクライナ侵攻が始まっても、政権の支持率は落ちなかった。
 「5人目のスターリンだ」。ある作家は昨年12月、ロシア史に残る5人の指導者の最後にプーチン氏を据え、保守派から喝采を浴びた。スターリンから負のイメージは消えつつある。
 プーチン氏は現在70歳。20年の憲法改正で再出馬の道が開かれている。仮に来年の大統領選で当選してあと1期6年間の任期を満了すれば、首相時代を含めた権力掌握の期間が30年間に達する。その場合、スターリンを超え、ソ連成立後で最長となる。

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