イラク、新首相選び本格化 駆け引き激化で混迷も

東京, 12月06日, /AJMEDIA/

イラクで10月に行われた総選挙の結果がようやく確定し、新首相選出に向けた動きが今後本格化する。カディミ首相の続投が有力視されるものの、議席を減らした親イランの政党連合は「選挙は不正だ」と反発。政治的な空白が長引く恐れもある。
 国会(定数329)選の投票日は10月10日だったが、選管当局の最終結果公表は11月30日までずれ込んだ。イスラム教シーア派指導者サドル師率いる政党連合が73議席で最大勢力の座を維持。48議席で第2勢力だった親イランの「征服連合」は17議席と大きく後退した。イラク国内の民兵組織を通じ、存在感を強める隣国イランへの根強い反感が浮き彫りになった。
 外国の干渉を嫌うサドル師はシーア派有力者ながら、イランと一定の距離を置く。37議席と躍進したスンニ派連合や、31議席を獲得したクルド民主党などとの連携も視野に入れているとされ、イラク人専門家のムスタファ・ナセル氏は「サドル師は親イラン勢力の弱体化を目指している」とみる。
 昨年5月に就任したカディミ首相は欧米との良好な関係に加え、対立するイランとサウジアラビアの関係改善に向けた動きを仲介し、外交手腕に一定の評価もある。ただ、今年11月7日には首都バグダッドでカディミ氏の住居を狙った暗殺未遂事件も発生。不満分子も多く、安定には程遠い。
 イラクでは今月、駐留米軍の戦闘任務が終了予定だ。米国は助言や訓練に専念する兵力は残す見通しだが、隙を突く形で反米の親イラン民兵組織などの活動が激化する可能性もある。政治勢力間の駆け引きで首相選びの調整が遅れれば、イラクの混迷に拍車が掛かりかねない。

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