「逃げ場なく恐ろしかった」 乗客男性、混乱の車内撮影―京王線刺傷26日初公判・東京地裁支部

東京, 6月25日, /AJMEDIA/

 走行中の京王線車内で乗客らを殺害しようとしたとして、殺人未遂などの罪に問われた服部恭太被告(26)の裁判員裁判が26日、東京地裁立川支部(竹下雄裁判長)で始まる。車内に居合わせた乗客の会社員男性(34)は事件当時を振り返り、「逃げ場がない場所での切り付けや放火は恐ろしかった」と語った。
 悲鳴や怒号が飛び交う中で逃げ惑う乗客、燃え上がる炎。男性がとっさにスマートフォンで撮影した動画には、混乱した車内の様子が映し出されている。
 男性は2021年10月31日、山梨県内の自宅からハロウィーンの渋谷に遊びに行くため、特急電車に乗っていた。午後7時55分ごろ、調布駅を出発して地下を走行中、隣の車両から乗客が続々と移動してきた。「慌てたりおびえたりした様子で、異変を感じた」という。
 何が起きたのかと思い、スマホで動画を撮影していると、突然、車両の連結部分で火が上がった。男性も避難しようとしたが、車内は逃げてきた人たちでいっぱいになり、思うように動けない。間もなく電車は国領駅の地下ホームに停車したが、ドアは開かず、非常ベルがけたたましく鳴る中、他の乗客らに続いて窓から脱出した。
 ホームを移動中、車内でひとり座る服部被告の姿が見えた。「落ち着いていて、犯人なのか分からなかった」。地上に出ると、消防車や救急車が何台も来ており、事件の重大さを知ったという。
 あれから1年8カ月。男性は「今でも電車内で人が移動してきたり音が聞こえたりすると、何かされるかもと気になることがある」と話す。裁判には「同じような事件が起きないように厳しい罰を与えてほしい」と求めた。
 一方、逮捕後の報道で「死刑になりたい」といった服部被告の自暴自棄な言動を目にし、「人生に疲れていたのかなと思った。公的機関による支援を受けられなかったのか、どうすれば事件を防げたのかが知りたい」と話した。

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