「ウクライナ疲れ」顕著に 旗振り役去り関心低下―英

東京, 2月7日, /AJMEDIA/

昨年2月のロシアによるウクライナ侵攻開始当初、英国は当時のジョンソン首相の下、対ロシア制裁やウクライナ支援で主導的役割を担った。しかしその後、英政局は混乱し首相が次々と交代。物価高に直面する国民は自分たちの生活を優先せざるを得ず、支援で国中が盛り上がった1年前と比べ「ウクライナ疲れ」が顕著となっている。
 支援に熱心でロシア政府から「反ロシアの急先鋒(せんぽう)」と見なされたジョンソン氏は、ウクライナを何度も訪れ、欧米諸国による軍事支援強化の旗振り役を務めた。「欧州の戦争」に衝撃を受けた英国民も、難民受け入れや慈善活動に奔走。国を挙げて「自由と民主主義の原則」(ジョンソン氏)を守るための支援を展開した。
 ところが、不祥事で批判にさらされたジョンソン氏は昨年7月に辞意を表明し、後継のトラス前首相もわずか1カ月半で退陣。スナク現首相は「支援継続」を強調するが、ウクライナ対応で際立つ言動はなく、ジョンソン氏に比べて存在感は薄い。
 また、戦争が長期化するにつれて人々の関心も低下。光熱費高騰や物価高による「生活費危機」に見舞われる市民は日々のやり繰りで精いっぱいで、支援行動も鈍りがちだ。
 政府はウクライナ難民を受け入れるホスト家庭への補助金増額など「難民を支え関与し続ける」(報道官)姿勢を示すが、実際は経済的な問題からホストをやめる家庭が続出。昨年末の政府統計によれば、侵攻後に渡英した難民10万人のうち約3000人が、住む所の定まらない「ホームレス」状態に陥った。
 難民支援団体「レフュエイド」のアナ・ジョーンズ代表は、英メディアのインタビューで「(不十分な受け入れ態勢は)戦火を逃れてきた人々にさらなる重圧を与え、ホストの負担も大きい」と指摘。「英国でホームレスになるか、ウクライナに戻るか、(難民たちは)崖っぷちに追い詰められている」と述べ、継続支援に向けた態勢拡充を訴えた。

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