G20、薄氷の幕引き ロシアめぐり深まる混迷

東京, 11月17日, /AJMEDIA/

16日に閉幕した20カ国・地域首脳会議(G20サミット)では、首脳宣言の見送りという最悪の事態は回避された。ただ、宣言はウクライナ情勢をめぐる参加国の立場の違いを色濃く反映、ロシアを震源とする世界の混迷を改めて浮き彫りにした。リーマン・ショック後の金融危機では世界経済の立て直しに貢献したG20サミットだが、機能不全に陥る寸前で踏みとどまる薄氷の幕引きとなった。
 「G20は経済、財政、開発のための会議だ。政治のフォーラムではない」。議長国インドネシアのジョコ大統領は閉幕後の記者会見でこう強調した。
 G20には先進7カ国(G7)に加えインドや中国、ロシア、韓国やトルコなどが参画。各国のロシアとの距離感は異なり、ウクライナ侵攻後の閣僚会合では一度も共同声明を出せていない。新型コロナウイルス禍で傷んだ世界経済の立て直しに向け、結束して成果を生み出す機能は失われつつあった。
 ロシアのラブロフ外相はG20サミットの初日の討議を終えると早々に帰国。同じ日にはウクライナへ90発以上のミサイルが発射された。ウクライナ情勢は会期中も一段と深刻度を増し、16日にはG7首脳らが緊急会合を開いて協議する事態となった。
 こうした中、サミットではインドネシアを中心に首脳宣言の取りまとめに向けぎりぎりの交渉が続いた。結局、宣言には国連総会決議を引用する形でロシアを厳しく非難する文言が盛り込まれる一方、「他の見解や異なる評価もあった」と、ロシアへの配慮を示す表現も加えて折り合った。
 今回、各国首脳はG20サミットの機会を通じてトップ外交を展開。会議前日には米中首脳が3年ぶりに会談し、「議論の場を提供する役割」(国際金融筋)も一定程度果たした。エネルギー価格の高騰やインフレなどで世界経済の失速が現実味を帯び、食料危機による途上国の苦悩も深まっている。合意を具体的な解決策に結び付けられるか、各国の結束と行動力が引き続き試されている。

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