高齢者負担増、目白押し 医療・介護、年内に結論―相次ぐ改正に反発も

東京, 11月7日, /AJMEDIA/

 医療や介護保険の制度見直しで、高齢者の負担増の議論が進んでいる。少子高齢化が進む中で現役世代の負担を抑え、制度を安定的に持続させるのが狙いだ。ただ生活に直結する問題だけに、年末までの合意形成は難航が予想される。
 ◇団塊の世代75歳に
 人口のボリュームが多い団塊の世代が全員75歳以上の後期高齢者となる2025年を控え、10月から社会保障審議会(厚生労働相の諮問機関)の各部会で医療と介護制度の見直し論議が始まった。
 後期高齢者医療制度は、窓口負担を除く財源の9割が現役世代の保険料と公費で賄われている。部会では高齢者の年間保険料の上限を現行の66万円から引き上げる案などを議論。年内に具体策をまとめ、来年の通常国会に関連法改正案を提出する。
 介護保険制度の見直しでは、所得が高い65歳以上の人が支払う保険料の増額や、サービス利用料を2~3割自己負担する人の対象拡大などが検討課題。こちらも年内に具体案をまとめ、24年度の制度改正を目指す。
 改正時期は25年と先だが、別の部会では年金制度の議論にも着手。国民年金保険料の納付期間を現行の40年から5年延長する案を協議しており、実現すれば20歳から始まる納付は「60歳到達時まで」から「65歳到達時まで」に延びる。自営業者らは新たに保険料負担が増えることになる。
 ◇全世代で応能負担を
 政府の会議は5月、全ての世代が安心できる社会保障制度づくりに向け、高齢者中心の給付の在り方を見直すよう求め、「将来世代に負担を先送りせず、能力に応じて皆が支え合うことを基本とする」と提言した。
 厚労省は11月中にも医療・介護制度改革で負担が増える対象や増額幅などを示す方針だ。省幹部は「医療費が増大する中、高齢層も含めた全世代で所得に応じた負担を求める大きな方向性は理解が得られるのではないか」と話す。
 ただ後期高齢者の医療費では、一定の所得がある人の窓口負担が10月に1割から2割に引き上げられたばかり。新たな案が公表されれば反発は必至だ。
 政府内でも「所得の高い高齢者だけでは増収効果は限られる」と抜本見直しを求める声がある一方、「相次ぐ負担増に理解を得られるのか」と慎重な意見も根強い。与党内で反対論が強まれば、改革案の修正を迫られる可能性があり、どこまで踏み込めるかは不透明だ。

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