食品、再値上げも 円安進行、追い込まれる輸入産業

東京, 9月3日, /AJMEDIA/

 円相場が一時1ドル=140円台に急落したことで、食品、エネルギーといった原材料や燃料の仕入れを輸入に頼る産業はさらなる苦境に追い込まれる見通しだ。原材料価格や燃油価格の歴史的な高騰で、企業のコスト削減努力は既に限界。最後の手段とも言える「値上げ」のラッシュが続く食品業界からは、「再値上げを検討せざるを得ない」(大手メーカー)との悲痛な声が漏れる。
 食品業界は昨年来、コロナ禍からの世界的な景気回復やロシアのウクライナ侵攻を原因とした輸入原材料の高騰に悩まされている。電気料金や輸送費も高止まりしており、円安が今後コスト増に拍車を掛けるのは必至。別の大手食品メーカーの担当者は、「再値上げはあり得る。適正価格が分からなくなってきた」とため息をつく。
 エネルギー業界も、「燃料高と円安が同時に進むと、電気料金に転嫁できない部分が増える」(電力大手)と頭を抱える。日本が頼ってきたロシアの石油・天然ガス開発事業「サハリン2」からの液化天然ガス(LNG)供給が将来途絶える懸念も拭いきれず、西日本のガス大手は、「いい話が何もない」と肩を落とす。
 一方、コロナ禍に伴う水際対策が緩和される局面での円安進行に、観光業界は「(外国人客の)訪日に絶好のチャンス」(芝田浩二ANAホールディングス社長)と期待する。輸出のほか海外現地生産を行う製造業にも、円安は基本的に「追い風」(日産自動車幹部)だ。
 ただ、こうした業界も「急激な円安は物流費や光熱費の上昇を招く」(三菱電機)と単純に円安メリットを享受できるとは考えてはいない。大手百貨店は、「訪日客への期待はあるが、あらゆるモノの値上げで日本人の消費マインドが冷え込むと影響が出る」(広報)と不安をあらわにする。

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