野党内紛か、新政権に追い風 対日改善も本腰へ―韓国地方選

東京, 6月3日, /AJMEDIA/

韓国で1日行われた統一地方選は保守系与党「国民の力」が17の知事・広域市長選のうち12カ所を制し圧勝した。革新系最大野党「共に民主党」では敗北の責任をめぐる内紛が予想され、先月発足したばかりの尹錫悦政権が国政運営を軌道に乗せる上で大きな追い風となった。
 大統領選で圧倒的な支持を得られず、国会でも少数与党を強いられる尹氏は、地方選で負ければ早々に求心力を失いかねなかった。バイデン米大統領が日本より先に訪韓したことに「地方選で勝って安定してほしいという側面支援」(外交筋)との見方が出ていたほどだ。強気に転じた与党の権性東院内代表は2日、共に民主党に対し「協治(協調の政治)をせよという民意に応えるべきだ」とけん制。共に民主党も「政権に一定の協力をせざるを得ない」(関係者)見通しだ。
 一方、共に民主党指導部は2日、総退陣を表明。党内では、大統領選で敗北して日も浅いうちに選対トップに就き、自身は国会議員補選で当選した李在明氏に対し「党は死んで自分だけ生き残った」と責任論が噴出している。李氏は8月の党代表選に出馬する意向とされ、親文在寅前大統領派との激しい対立が不可避。野党の混乱は、尹政権が主導権を握る上で好都合となる。
 尹政権が意欲を見せる日韓関係改善への動きも本格化するとみられる。月内に朴振外相が訪日する方向で検討されており、7月の日本の参院選でも与党が勝利すれば「突っ込んだ交渉を行う環境が整う」(専門家)という見方が多い。
 ただ、地方選の与党圧勝は、共に民主党による検察の捜査権を縮小する法改正強行や党指導部内の対立といった「敵失」の要因も大きい。また、海洋調査など竹島(韓国名・独島)をめぐる問題は、保守・革新問わず譲歩の余地がなく、摩擦が続く見通しだ。尹氏に近い政界関係者は「総選挙で圧勝したわけではなく、国会の構図は変わらない。根深い反日感情を無視して無理に関係改善を進めれば、尹政権は破滅しかねない」と警鐘を鳴らす。

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